気付きを与えてくれた感謝
E:「MISS UNIVERSE」とはどんな存在か、改めて考えさせられますね。そういう自分の軸となる部分を見つめる機会はなかなかありませんよね?
森「そういう自分の活動の核となることを見つめさせてくれる、そのきっかけをくださる方は、男性としてだけでなく人として尊敬できますし、信頼も寄せられます。もうひとつ、少しケースは違うのですが、HIV/AIDSのスポークスウーマンをしているときに、日本人の男性患者の方とお話しをしたことがありました。HIVは、ご存じのとおり、日本でも年々感染者数が増加しています。病気に対して、しっかりとした関心を持ち、知識を深めていくことを促すための活動でした。でも、HIVの理解を啓もうするにも、あまりに規模の大きな問題ですから、自分に何ができるかが見えていなかった。そのときに言われました。『そんな気持ちで活動するなら、してくれなくて結構だ』と。彼に私の心を見透かされてしまっていたんです」
E:心の中にある迷いを見られ、指摘されたわけですか?
「実は、MISS UNIVERSEになったばかりのころは、自分がこのポジションで何をすべきで、どう行動するのが正しいかわかっていませんでした。経験不足で、右も左もわからない状態でした。すると彼は、そのひと言のあとに『何ができるかではなく、自分が何をしたいのかを考えてほしい』と付け加えてくれて。とても大きなショックを受けました。確かに彼の言うとおり、私は自分にできることとできないことを勝手に分けて考えていました。与えられた役割だけを見ていたから『できない』『やれない』と思い込んでしまっていただけで、本当に大事なのは、目の前の相手のために何をしたいかという自分発信の行動だったんです」
E:それに気づかされ、「森理世」という人は大きく変わったのですね。
「ええ、ひとつの大きなきっかけになりました。まず自分のためではなく相手のため。そして自分の心で自分を動かさなくては本物とは言えない。その人が言ってくれたことは、私のMISS UNIVERSEとしてのアイデンティティに深く関わることでした。そこから大きく変わった実感があったのです。ですから、私も、そのように誰かのアイデンティティを掘り起こすことができるような存在になりたいと常々思っています。ですので、自分が目指すものを持っている方は、やはり尊敬しますし、魅力的に見えますよね」
森理世は、自らに「感謝の気持ちを忘れるな」といつも言い聞かせている。どれだけ自分が夢をかなえて、成功を手にしたとしても、それは「周囲の人が協力してくれたおかげ」だと。その感謝の気持ちや素直さが、より魅力を引き立たせ、周囲に人が集まってくる。そして数多の人を見て、彼女は男性の、本物の魅力を見抜く目を養ってきた。そこで後編では、森理世が考える「本当に女性に好かれる男性」とはどのような男性なのかを聞いていく。
森理世|世界で出会ったいい男がが備える魅力のすべて[後編]
森 理世
静岡県出身。MISS UNIVERSE 2007世界大会優勝者。19歳でMISS UNIVERSEに応募し、20歳で世界大会の王冠を手にする。歴代最長となる14ヶ月の任期中、HIV/AIDSほか世界各国の社会問題のスポークスウーマンとして活躍。チャリティイベント・ボランティア活動を通じて世界15ヶ国を巡り、啓蒙活動を行った。任期を終えた後は、モデル活動のほか、幼少から続けていたダンス経験を活かし、母との夢であったダンススタジオ「I.R.M.アカデミー」を設立。アーティスト兼ディレクターとして指導にあたっている。
Stylist: 菅原麻里(Mari Sugawara)
衣装協力
ワンピース/DIANE von FURSTENBERG (03-6748-0514)
ピアス、ブレスレット/グロッセ (グロッセ青山本店03-5775-2787)
撮影協力:アニヴェルセル カフェ&レストラン 〒107-0061 東京都港区北青山3-5-30 【営業時間】 10:00~23:30 (土日祝9:00~23:30) ※年中無休 【TEL】03-5410-8988 【URL】http://cafe.anniversaire.co.jp/ |