ビジネスに追われ、膨大な決断や判断に迫られる経営者達。「いままで全力疾走で駆け抜けてきた」と自負する人も多いだろうが、ふとしたことで心に迷いが去来したり不安に陥るなど、心身のバランスを崩すことはないだろうか?
そんな皆さんに、メンタルトレーニングの第一人者、高畑好秀氏からのアドバイスをお届けしましょう。エンリッチな方こそ押さえておきたい、心と体のメンテナンスとは?ーー
エンリッチ読者の皆さん、メンタルトレーナーの高畑好秀です。私はこれまで、プロ野球やJリーグ、Vリーグ、プロボクシング、プロゴルフなどのプロスポーツ選手やオリンピック選手といったアスリート2000人のメンタルトレーニングの指導を20年に渡り行ってきました。並行して、企業のビジネス講演や研修も800社を超え、メンタルトレーニングの普及を努めています。
トップアスリートは強靭な肉体だけではなくメンタルもタフで、これにヒントを求める経営者は少なくありません。そういった方々に対してもメンタルトレーニングをする機会は多く、読者の皆さんにもマッチしたお話しができると思います。
私がアスリートを指導してきてわかったのは、心身のバランス感覚を意識しないと、客観的に自分自身を捉えることができず、スランプに陥ってしまうということです。いくらフィジカルが優れていても頭が働いていないと、高いモチベーションやパフォーマンスは実現できません。もちろん身体は資本ですから、しっかりと鍛えてもらいますが、並行して、身体機能についてなど、フィジカルについて知識も学ぶように促します。というのも、自分の身体をどのようにコントロールし、効率的に使うか頭で考えないと、スポーツがただの肉体労働になってしまうこともあるからです。つまり、頭と身体の両方を働かせることで心身のバランスが取れるようになり、パフォーマンスに結び付きやすくなります。
一方、頭を使ってばかりの人、例えば囲碁を打つ棋士に対しては、身体を動かすように指導をすることも。運動をすることでストレス解消・リフレッシュされ、気持ちの整理がつくようになるからに他なりません。これは経営者も同じで、やはり人間というもの、オフィスなど狭く同じ空間に長く閉じ込められているとストレスになり、アイデアも広がりようがありません。いつもと異なる場所に足を運び、身体を動かしたり、普段とは違う情報を頭に入れることで、新しい自分に出会えるというわけです。若手経営者を中心にトライアスロンをはじめスポーツを趣味にする人は多いですが、こういった理由があるからかもしれませんね。