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『周りと違う』ことを恐れない!
エンリッチのためのメンタルヘルス

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どちらかというと、日本人には縁遠いメンタルカウンセリング。しかしながら近年は、カウンセラーに心の悩みを打ち明け、ライフサポートとして活用する人が増えているという。なかでも目立ってきたのが、経営者や資産家というエグゼクティブからの相談。それは、なぜだろうか? ここでは、これまで日米の富裕層をケアしてきたカウンセラーに実情を聞きつつ、両国のエグゼクティブが抱える悩みの傾向や、その対処法についてレポートをお送りする。

これだけ違う。日米エグゼクティブの“心の悩み”に対する認識

誰もが抱える心の悩み。ところが経営者、資産家といった成功者の場合、打ち明ける相手がおらず、悶々としていることはないだろうか。

「日本のエグゼクティブの場合、そういったケースが多く見受けられます。悩みがストレスとなり、日常生活やビジネスに支障をきたすことも……」

警鐘を鳴らすのは、カウンセリングオフィス「ハートコンシェルジュ」(東京都渋谷区)のカウンセラーとして、社会的地位の高いビジネスパーソンと向きあってきた、向後善之氏。石油会社で会社員生活を約15年送った後、40歳を機に渡米。CIIS(カリフォルニア統合学大学院)で統合カウンセリングを学び、サンフランシスコ市営のRAMS(Richmond Area Multi-Services)他でカウンセラーとして勤務。現在は帰国して、アライアント国際大学/臨床心理大学院東京サテライトキャンパスで臨床心理を教えているという、異色の経歴の持ち主だ。

「そもそも日米ではカウンセリングに対する認識が大きく異なり、アメリカでは風邪をひけば医師にかかるように、ホームドクター的に利用しています。学校にもスクールカウンセラーが常駐しているので、若いころからストレスを吐き出す術を知っています。ところが日本の場合、カウンセリングに対して馴染みがなく、むしろかかることを『恥ずかしい』、『負け』だとネガティブに捉えている人が多いのが実情。しかしながら近年は利用者も増えてきて、エグゼクティブのクライアントも訪れています」

これだけ違う。日米エグゼクティブの“心の悩み”に対する認識
アメリカは公私に渡り、日本はビジネスコンサルに近い


気になる悩みの「内訳」。
アメリカは公私に渡り、日本はビジネスコンサルに近い

日米で、トップビジネスパーソンのカウンセリングを行ってきた、向後氏。
両者を比較して「カウンセリングを利用する目的は同じ」だが、「悩みの傾向」は、それぞれで異なると分析する。

「企業家をはじめとする成功者は相談相手がなかなか見つからず、ストレスをため込んでいる人も少なからずいます。ですから、カウンセリングを利用するのですが、アメリカ人の相談内容はプライベートからビジネスまで多岐に渡り、それこそ『家族や恋人とうまくいかない』『創業者である父親の前だと萎縮してしまう』など、様々。ところが日本人だと、経営や部下の管理、事業の方向性、後継者問題など、9割方はビジネスに関する内容です」

よって向後氏の場合、アメリカではホームドクター、日本ではビジネスコンサルタントに近いスタンスでクライアントに向き合うという。

「これは、カウンセリングに対する敷居の差が関係しています。カウンセラーが身近な存在であるアメリカ人の場合、私たちはよき相談相手。ですが日本人はアドバイザー的な役割を求めているのだと思います」

アメリカでは統合カウンセリングが主流。日本のトレンドは?

カウンセリングの手法についても、日米で違いがみられるという。向後氏は、次のように指摘する。

「かつてアメリカでは、過去のトラウマを探る『精神分析』、考え方や行動から内面をケアする『認知行動』、自己の成長欲求に注目する『人間性心理学』など、様々なアプローチが争っていましたが、いまはどこにも特化しないで、クライアントの症状に最適なケアを施す『統合カウンセリング』が主流。私はアメリカで学んだこともあり、この手法を取り入れています。一方、日本はこれを追随しているのが現状で、現時点では認知行動の手法が最大のトレンド。統合カウンセリングは少数のようです。個別の手法についても、身体感覚に注意を向け、人間が持つ自己治癒力を引き出し症状の癒しをはかる『ソマティック』と呼ばれる手法は、アメリカのスタンダード。ところが日本では比較的新しいとされています。このように、取り組みについても日米では開きがあるのです。とはいえ、カウンセリングが国内でも一般化するに伴い、この差も縮まりつつあります」

エンリッチ編集部

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