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運に対する独特の解釈

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よく言われていることだが、お金持ちの人ほど「運」を大事にする。逆に、お金が稼げない人ほど、運がいいことを軽視する傾向が見られる。運ではなく実力で勝ち取ることをプラス評価しているだけならよいが、実力という言葉にこだわるあまり、運を軽視するようになるとそれは少々問題だ。
 
多くの人にとって、お金持ちの人が「運」を大事にするといわれても、あまりピンとこないかもしれない。ここでは運を大事にするということの意味をもう少し詳しく解説してみよう。

極限まで努力すると運の大切さが分かってくる

お金持ちの人が運を大事にするという話は、運を信じていれば成功するというような単純な話ではない。実際にはもっと重みのある話である。

ある実業家が筆者に話してくれた内容は、お金持ちと運の関係を非常によく表しているのでぜひ紹介したい。

実業家氏によれば、本当に資産家になろうと思ったら、人生で2回、大勝負をかけなければならないという。1回目はゼロから事業を立ち上げた時、2回目は、ある程度まとまったお金を用意し、規模拡大を目指して投資する時なのだという。

彼が言うには、何も準備をせず、ただ運を天に任せるようなことをしていては、勝負の時にエースのカードを引ける確率は、まさにトランプの通り13分の1くらいしかないという。
 
だが体力の限界までハードワークを行い、精神力の限界まで緻密に物事に取り組むことによって、その確率を2分の1くらいにまで高めることができるという。1回目の勝負で2分の1、2回目の勝負で2分の1となり、連続してエースが出る確率を4分の1にまで高めることが可能となる。

つまり、2回の勝負で連続してエースが出れば、資産家になれるというわけだ。13分の1と言われるとかなり厳しいが、4分の1ということになるとだいぶイメージは変わってくる。

ただ、逆に考えれば、人としての限界ギリギリまでがんばっても確率は4分の1にしか上げることができないということにもなる。残り4分の3は、どんなに努力しても、運が悪くて失敗してしまうのだ。

死ぬほどがんばれば成功する確率を4分の1にできると聞いて、これを高い確率だと考えるか、バカバカしいと考えるか、それは人それぞれだろう。だが、極限までがんばった人にとっては、最後の4分の1はすべて運にかかっているという状況であり、そのような環境において、人は本当に運を大切に思うようになるのだという。

要するに、運を大事にするという考え方は、極限まで努力したからこそ得られる感覚というわけである。この話を聞くと、運が大事というお金持ちの哲学も、何となく理解できるのではないだろうか?

加谷珪一

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