お金を意識しない人に富は集まる
お金儲けを過剰に意識しない人が、結果的に大きな資産を築くという現象は、学問の世界でも取り上げられている。社会学の巨人であるマックス・ウェーバーはその著書「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」において、禁欲的で厳格なプロテスタントが多い地域で資本主義が発達し、そうではない地域では資本主義があまり発達していないという一見矛盾するような興味深い事実を指摘している。
プロテスタントの信徒はドイツ人や米国人に多いので、今ではもっともビジネスと親和性が高い宗教と見られている。だが、当初のプロテスタントは、カトリック教徒が見たらビックリするほど厳格で、お金儲けとは程遠い人たちだったといわれる。ウェーバーの主張は、要するに、お金や享楽的な生活に興味がない人ほどお金持ちになりやすいという特徴が見られたということである。そのメカニズムはこういうことだ。
ウェーバーによれば、厳格なプロテスタントは自分の仕事を神から与えられた使命と感じ、禁欲的に一心不乱に仕事にまい進する。その結果、事業は成功し大きな富を得ることが多いのだという。しかし、禁欲的なプロテスタントはそのお金で豪遊したりせず、さらに仕事にまい進するので、ますますお金持ちになるというわけである。
つまり、お金のことをあまり意識せず、使命感を持って仕事にまい進すると結果的にお金持ちになり、お金を持った人は、積極的に事業や投資を拡大できるので、さらにお金持ちになるという図式である。
事業や投資を成功させるには、利益を追求する姿勢が大切なわけだが、それだけでは不十分だ。そこに社会的な使命が加わることによって、当事者は迷わず、目的に向かって進むことができる。行政に対して時に激しい敵意をむき出しにした小倉氏の姿勢は、商売というよりも使命感に近い。
お金持ちになるために最初にすべきことは、イチかバチかの賭けをすることでもなければ、汚いことをすることでもない。どんな形で世の中の役に立ちたいのかを真剣に考えることであり、実はこれが資産家への近道なのである。
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