競合と張り合うには
同じことをやってもダメ
アマチュアスポーツの世界では、特にアイデアは重視されると思います。というのも、野球の強豪校であれば、ネームバリューで実力のある選手が集まり、練習環境はバツグン、資金力も申し分なく、ありものづくしです。他方、一般的な公立高校だと選手の層も薄く、練習場は他の部活動との取り合いで、十分は練習時間も確保できないことがほとんど。資金力も乏しいでしょう。
そういった環境に大差があるのに、強豪校と同じ練習をしたところで、小粒な高校に勝ち目はありません。そもそも、同じことはできないでしょうし、差は開く一方…。なら練習やトレーニングに工夫を凝らしたり、効率的にできるようなアイデアが必要なはずで、同じことではなく「違う視点」で臨まないと、勝ち残れないのです。稀に、高校野球だと知名度の低い高校が甲子園出場を果たすことがありますが、その裏には監督や選手たちの類まれなる努力はもちろん、独創的な取り組みがあるのではと思います。スポーツの世界では、多くの選手が成功者と同じことをしたがるのですが、それはじつのところ間違いなのです。
ビジネスでもそれは変わりません。同じ商品がふたつあるなら、資本のある会社の方が宣伝などにお金をかけることができ、圧倒的に有利です。同じ土俵で戦っては勝てる見込みはありません。そこで、差別化を図るなど、ちょっとしたアクセントが求められるのは当たり前のことです。
例えば、医薬品や衛生雑貨などを手がける、小林製薬。同社は知名度も高く、決して小さな会社ではありませんが、競合がひしめく業界で、ユニークなネーミングの製品を出すことで消費者からの認知を獲得し、セールスにつなげています。アイデアを活かしてブランディングに成功しているのではないでしょうか。
ともすると、「大手には勝てない」「後発なので不利」など、弱気になる場面は少なからずあります。ですが、いまはSNSを使ったユニークな施策でトレンドに乗ったり、必ずしも弱者に厳しいだけのビジネス環境ではありません。アイデアを駆使すれば、アリがゾウを倒すようなこともできますから、発想力を重視して、ビジネスにも臨んでみてはいかがでしょうか。
*この記事は2017年2月に掲載されたものです
一流だけが知っている自分の限界を超える方法
KADOKAWA/中経出版 1,404円
名だたるトップアスリートが指名するメンタルトレーナーである著者が、彼らと真剣に向き合う中で見出した「人間は本来負けたがっている」というオリジナルのスポーツ心理学をベースに、「勝ち」への執着を捨て、限界突破のための「負け」を知る究極の方法を説く。
高畑好秀 公式サイト: www.takahata-mental.com