メンタルトレーナーの高畑好秀氏が、悩めるエンリッチにアドバイスする本コラム。意外な視点からの言葉に、思わずハッとさせられるかもしれません。今回は「組織づくり」がテーマです。
結果を求めすぎると
組織は委縮してしまう
ベンチャーを興し、事業が軌道に乗り組織が大きくなるにつれ、関わる従業員の数は右肩上がり…経営者にとって、これほど喜ばしい話はありません。
最初は自分だけ、あるいは数人の仲間しかいなかったオフィスに人が溢れ、規模拡大に伴うオフィスの移転、中途採用に伴う即戦力のスタッフが増えることで、さらにビジネスは拡大して業績もアップ、ついには新卒採用も手がけるようになり、IPOも視野に入ってきた…という成功ストーリーは眩しさも感じるほど。経営者には、ビジネスは言うまでもなく、従業員やその家族の生活も背負うという意味で責任感は増すばかりですが、それがモチベーションとして働くことが多いようです。
一方、関わる人が多くなるほど、組織内の風通しが悪くなることは珍しくありません。仕事への姿勢は十人十色で、性格だって千差万別。ベンチャー企業はカリスマ性のある経営者によるトップダウンで組織を率いるケースが多いようですが、周囲が萎縮するあまり、イエスマンばかりになってしまう、あるいは、進捗しない会議ばかりが増え、停滞してしまう…。ビジネスの拡大と引きかえに「大企業病」に陥ってしまうのです。
これはスポーツの世界も同様で、力を持ちすぎる監督や活躍目覚ましい選手の発言権が強くなった結果、他の選手が言葉を発しづらい環境が生まれることは、ままあります。しかしながら、一部の人の能力に頼るだけの組織だと自由闊達な雰囲気がそがれ、個々の発言がしにくくなるとモチベーションは低下、離職や離脱が目立つようになり、組織全体のパフォーマンスをダウンさせてしまうばかりか、下手をすると自滅に向かってしまうのです。