「富裕層」この言葉ほど、定義があいまいで、いろいろな解釈がなされている言葉はないかもしれない。多くの場合、「富裕層」という言葉は、漠然とお金持ちという意味で使われており、実際のところ、どの程度の資金力のことを指しているのかはっきりしていない。
筆者は長年、富裕層と呼ばれる人達と身近に接してきたことに加え、自身も億単位の資産を保有する立場にある。ジャーナリスト出身ということもあり、客観的な視点で分析するクセもある程度は身に付けている。完璧とはいえないかもしれないが、富裕層と呼ばれる人達を定義する資格はあると考えている。
冒頭の繰り返しになるが、ひとくちに富裕層といっても、その実態は様々だ。まずはそこから整理していきたいと思う。
富裕層としてもっともイメージしやすいのは、いわゆる青年実業家やお金持ちの芸能人ではないだろうか。彼等は高級外車に乗り、ブランド物の服を着て、夜も派手に遊んでいる。
彼等に特徴的なのは、稼ぎも多いのかもしれないが、とにかく、支出も多いという点である。稼いでは消費し、稼いでは消費するという行為を繰り返している。このタイプの人達は、確かに高額消費をしているのだが、実は資産をほとんど持っていなかったりする。稼いだ分を貯めることがないからだ。
このような、見るからに派手な消費生活を送るためには、年収でいうと3000万円程度は必要である。筆者の経験からいっても、年収2000万円以下の人は、確かにお金は持っているのかもしれないが、基本的なライフスタイルは中間層とあまり変わらない。彼等のようにお金を消費する生活を送りたければ、やはり年収3000万円程度は必要だ。
もっとも、年収3000万円以上をコンスタントに稼ぎ出せる人というのは、ほんとうにごくわずかしかない。全人口比でいくと0.07%である。行動が派手なので多くの人に強い印象を与えているが、このような人は実はほとんど存在していないというのが現実なのである。