時間に対する感覚が違うことも理由のひとつ
では、経済環境が違う人と付き合えばよいかというとそうもいかないようである。経済的な面の違いから、気まずい雰囲気になることが、それがイヤで積極的に友人を開拓したくないというのが、友人が少ない二つ目の理由である。
若いうちはよいのだが、結婚生活やマイホームの購入、子供の進学などに関係する年齢になってくると、いろいろと金銭的な環境の違いが顕著になってくる。ごく普通の生活をしている友人とは話がしにくくなるというパターンである。
富裕層のMさんは、学生時代からの友人と付き合ってきたが、結婚して子供ができるようになってくると、状況が変わってきたという。
友人の多くは30年ローンで郊外のマンションを購入している。一方Mさんは港区の高級マンション住まいだ。どうしてもこの年齢になってくると、住宅ローンなどをきっかけにした自虐ネタが多くなってくる。
ひとしきり自虐ネタを披露し合った後に、Mさんだけはそうではないことに気づき「お前は立場が違うからなあ」とボソっと言われてしまう。相手に悪気はないのは分かっているが、最近はなんとなく昔の友人との飲み会には足が向かなくなっているそうだ。
3つ目は、富裕層の人は、時間の感覚が鋭く、平凡な人とは時間感覚が異なっているという点である。
資産を多く保有するようになると、時間の概念が大きく変わってくる。例えば1億円の金融資産を持っていると、3%の利回りで運用できれば年間300万円の収入となる。これは自分が働いている収入に純粋にプラスされるものである。
この金額はいってみれば時間が生み出したお金ということになる。つまり一定以上の資産を持っている人にとって、時間はお金そのものなのである。この金額は資産額が大きくなればなるほど増えてくる。10億円の資産を持っている人にとっては、1年間に3000万円の値段が付くことになる。
1日8時間労働にあてはめれば、時給1万5000円である。富裕層の人にとっては、知人とあまり意味のない会話をしてダラダラ3時間すごしてしまうだけで、理屈上4万5000円の損失となってしまう。必然的に、どのような時間を過ごすのかについて敏感になってしまうのだ。
そうなってくると、自分にとってどれだけ刺激になり、プラスになるのかという観点で友人、知人も選ぶようになってくる。それはそれでよいことなのだが、結果的に付き合うに値する人の数は減ってくることになる。