どのような生活ができれば、経済的に成功したといえるだろうか。マウンティングの有無は、その一つの基準となるかもしれない。お金持ちとして本当に成功できた人は、マウンティングをする必要がまったくない。
それどころか、周囲の人すべてに、頭を下げるようになる。「なぜお金持ちになったのに頭を下げるの?」と不思議に思う人もいるかもしれないが、ここが極めて大事なところなので、よく読んで欲しい。
人間社会でのマウンティングは同じレベルの集団内で行われる
マウンティングとはもともと猿がほかの猿の尻に乗って交尾の姿勢を取ることを指す言葉である。マウンティングは上下関係の確認作業として行われ、集団の秩序維持という役割がある。これが転じて、人間同士で、自分が相手よりも上だとアピールすることをマウンティングと呼ぶようになった。
もともと女子の間で流行った言葉だが、最近では男女関係なく「自分がエライ」とアピールすることをマウンティングと表現しているようだ。
動物というのは、実はかなり合理的だ。上下関係がよく分からず争うことはほとんどない。先日、筆者が公園を歩いていると、猫が、まさに猫なで声を出して筆者に寄ってきた。おそらくエサをねだっているのだろう。しばらくすると、カラダが少し小さい別の猫がおこぼれにあずかろうと寄ってきた。すると、先ほどまで猫なで声を出していた猫が豹変し、激しい威嚇で寄ってきた猫を追い払ってしまった。
動物の世界におけるマウンティングは、本当の意味での序列を確認する作業かもしれないが、人の場合は違う。人間社会でのマウンティングは、本質的に立場が変わらない人との間で「オレの方が上だ」「ワタシの方がスゴい」といったアピールをする行為に思える。つまりマウンティングをしている段階では、両者は同じ階層にいると考えた方がよい。
人がなかなかお金持ちになれないのは、自分と同じようなレベルの集団の中にとどまってしまい、そこから脱却できないからである。自分が誰かからマウンティングされたり、逆に自分が誰かにマウンティングしているということは、同じレベルの集団でつまらない争いをしていることにほかならない。
たいていの場合、こうした集団は、誰かが、そこから抜け出して成功しないよう、お互いの足を引っ張り合っていることが多い。こうした行為を正当化するキーワードが「友達」である。だが、それは真の意味での友情ではない。
お金持ちになるための第一歩はこうした集団からできるだけ早く脱却することである。常に自分のポジションより一つ上のクラスと付き合い、自身がそこに追いついたら、さらに上のクラスを目指す。こうした努力を積み重ねていけば、自然と自身の立場は上がってくる。
常に自分よりワンランク上の人とつきあうわけだから、その過程においてマウンティングの必要は一切ない。成功する人がマウンティングの必要がないといったのはそういう意味である。