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マウンティングしない

お金持ちになるとマウンティングの必要がなくなる

この話はある程度の成功を収めてからも同じである。成功した人は、やはりマウンティングの必要がなくなるのだが、その理由は以下の通りである。

ある程度の立場になれば、その人の周囲には人が寄ってくることになる。お金持ちの人は、人との付き合い方も上手なので、自分にとって必要だと思えば、どんな人でも付き合うことになる。

仮にその相手が、空気を読めない人で、自分に対してマウンティングをしてくる場合であっても、経済的にメリットがあるなら、お金持ちの人はしっかりヨイショして関係を維持するはずだ。

結果としてお金持ちの人の交友関係は以下のように整理できてくる。マウンティングをしかけてくるが、自分にとってメリットがない人は、基本的に付き合わない。自分より立場が上で、自分にとってメリットがあると思う人はより積極的に付き合うので、マウンティングなどとは無縁の世界だ。

自分より立場が下で、かつあまり役に立たず、マウンティングしないと上下関係を理解しない人は付き合うメリットがないので付き合わない。立場が下でマウンティングをしてくるが、役に立つ人物ならおだてて付き合うことになる。結果として、お金持ちの人は誰に対してもマウンティングをする必要がなく、一部の人からのマウンティングは経済的メリットを考えて、受け入れつつ、心の中ではスルーする。

多少、お金のある人で周囲に対して自分がボスであることを強くアピールしている人は、まだお金持ちとしては完成途上ということになる。その人が、さらにもうワンランク、ステップアップすることができれば、こうした過剰なマウンティングはしなくなるはずだ。

一方、そのレベルのお金持ちで終わってしまう人は、10年後も同じようにマウンティングに精を出しているかもしれない。もし日々の生活で自分が少しでもマウンティングをしてしまっていると自覚できる部分があるなら、そのライフスタイルは見直した方がよい。そのような集団にとどまってつまらない見栄の張り合いをしている時間はないはずだ。

*この記事は2017年8月に掲載されたものです。

加谷 珪一 (かや けいいち)

経済評論家。東北大学卒業後、投資ファンド運用会社などで企業評価や投資業務に従事。その後、コンサルティング会社を設立し代表に就任。マネーや経済に関するコラムなどの執筆を行う一方で、億単位の資産を運用する個人投資家の顔も持つ。著書「お金持ちの教科書」(阪急コミュニケーションズ)ほか多数。

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