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お金に縁のない人は、謝ることができない

お金持ちは必要ならすぐ謝る

ではお金持ちの人は、なぜ素直に謝ることができるのだろうか。当然のことながら、お金持ちの人にもプライドがあるので、本当は謝りたくない。それでも、積極的に謝罪するのは、そこに「必要性」が存在するからである。謝る必要があるなら謝るし、謝る必要がないなら謝らない。この判断が極めて重要だ。

これはお金の使い方と同じである。お金持ちの人は、「欲しいもの」に対してお金は使わない。すべて「必要なもの」に対して使っている。これに対して、貧乏脳の人は「欲しいもの」に対してばかりお金を使ってしまい、「必要なもの」に対してお金を使わないのである。この差が、最終的には決定的な経済力の違いとなって顕在化してくるのだ。

自身に非があることが明らかであり、一言、謝罪すれば物事がスムーズに運ぶことが分かっているにもかかわらず、謝罪ができない人は、「謝りたくない」という自身の欲望がすべてに優先してしまっている。この人は、ほぼ間違いなく、「欲しいものに」に対してしかお金を支出できない人だと思ってよい。

もし、一連の行動パターンに身に覚えがあるなら、できるだけ早く、こうした習慣から脱却した方がよい。人の心理は意外と単純なものである。過剰なプライドを持ってしまう理由はそれほど多くない。

子供の頃からあまり怒られた経験がない、劣等感から否定されたくないという思いが強い、高学歴の人なら学歴に対するこだわりが大きい、といったあたりが主な理由になるだろう。一度、自身のプライドがどのくらい高いのか、セルフチェックしてみるとよい。家族がいるなら、家族に聞いてみるのがもっとも早道だ。たいていの場合、家族はあなたのそうした性格をしっかり認識しているものである。

プライドを持つことそのものは決して悪いことではない。筆者も、このようなことを書いていながら、プライドが高い部分もある。だが、こうしたプライドは「謝らない」といった形で発揮してしまっては意味がない。経済的に何としても成功してやる、といったプラスの面で発揮されるべきだろう。

*この記事は2018年8月に掲載されたものです

加谷 珪一 (かや けいいち)

経済評論家。東北大学卒業後、投資ファンド運用会社などで企業評価や投資業務に従事。その後、コンサルティング会社を設立し代表に就任。マネーや経済に関するコラムなどの執筆を行う一方で、億単位の資産を運用する個人投資家の顔も持つ。著書「お金持ちの教科書」(阪急コミュニケーションズ)ほか多数。

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