お店に入って嫌な思いをするというのは、よくあることだ。しかし、嫌な思いをした時の感じ方はお金持ちとそうでない人に大きな違いがある。結果的にお金持ちの人は、お店に文句をいうことはあまりないのだが、それはなぜだろうか。
相手よりも、そのような場にいる自分を責める
当たり前の話だが、価格が安い店ほどサービスの質は下がってくる。高いお店がすべて良好なサービスを提供しているとは限らないが、一般論としてはコストをかけた方が気持ちのよいサービスを得ることができる。
あるお店に入り、不愉快な思いをしたと仮定しよう。多くの人は、そのお店や店員に対して強い不満を持つはずだ。場合によってはお店に激しくクレームを付けるかもしれない。だが、お金持ちの人はあまりそうした行動を取らない。それはお金持ちの人がいい人だからでも、お金があるので精神的に余裕があるからでもない。
当然のことながら、お金持ちの人もお店に対する不満はある。店員がふざけた態度ならやはり腹は立つ。
だが、それ以上に自分自身に対する怒りが大きいのである。つまり、こんなサービスを受けることしかできなような店に通っている自分自身に嫌気が差すのだ。「もっとお金があって、しっかりとしたお店に行くことができれば、こんな嫌な思いはしないのに」という話である。
お金持ちの人が文句を言うのは、自分としては十分な対価を払っているにもかかわらず、お店側がしっかりとしたサービスを提供していない時である。もっとコストをかければよい環境が手に入るという選択肢があった場合には、怒りはお店よりも自分自身に向く。
このコラムで以前、お金持ちの人たちは、やたらと自分の店を持ちたがるという話をしたが、これも同じ文脈で理解することができる。
究極的に考えれば、理想的なお店が欲しければ、お金をかけてでも自分自身で作ってしまった方がよい。確かにお店を持つと結構なコストがかかってしまう。店が儲かっていればコストの心配をする必要はないが、理想を追求したお店となると、収益はある程度、犠牲にせざるを得ない。しかしながら、理想の環境が手に入るなら、多少の出費は厭わないというお金持ちは少なくないのだ。