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年収が高いほど労働時間が短いという現実

お金持ちは、一方でハードワーカーにもなる

もっともお金持ちの人は、短時間労働一辺倒ではない。彼らは必要とあれば、どんなハードワークもこなす。

お金持ちになった人の働き方を見ていると、ある特徴が見られる。お金を作っている段階では、不眠不休の猛烈なハードワークをこなし、ある程度の資産が形成されると、一転して、睡眠時間をしっかり確保するようになるのだ。

楽天創業者の三木谷浩史氏は、創業間もない頃は、それこそ不眠不休で働いたといわれる。日本電産のオーナー社長である永守重信氏もかつては超ハードワーカーとして知られていた。

だが、こうした人たちも、ひとたびお金を持つと、一転して規則正しい生活を送るようになる。

寝具メーカーが発表した世界の億万長者たちの睡眠時間調査によると、多くが7時間以上の睡眠を取るという結果が得られている。長時間労働をしていては、毎日、7時間の睡眠時間を確保するのは難しいはずだ。

富裕層が睡眠時間をたくさん確保しようとするのは、お金持ちになったので、ゆっくりしようと思っているからではない。自身の経済力が高まってくるにつれて、仕事の質が変わってくるからである。
 
人は成功するにつれて、仕事の中身が、実務をこなすことから判断することへとシフトしていく。資産家になると、判断ミスが致命的な影響を及ぼすことになるため、常にハッキリとした頭脳でいたいという願望が強くなる。結果として成功者の大半は、睡眠時間を長くするという仕組みだ。

では、大きな成功を収めた彼らのライフスタイルから私たちは何を学べるだろうか。それは仕事のメリハリである。十分な成功を収めていないうちは、低い付加価値しか得られないのはやむを得ない。だがここでダラダラと長時間労働をしていては、その状況から抜け出すことはできない。やるべき仕事とやらない仕事をはっきりさせ、成果を出すための時間にすべてを充当すべきである。

徐々に成果が出てきて、生活に余裕が出てきたら、考える時間を長めに取れるよう、仕事や生活のパターンを工夫していく。こうしたサイクルがうまく確立できれば、自身の経済力の向上に合わせて、労働時間や睡眠時間をうまくコントロールできるようになるだろう。

加谷 珪一 (かや けいいち)

経済評論家。東北大学卒業後、投資ファンド運用会社などで企業評価や投資業務に従事。その後、コンサルティング会社を設立し代表に就任。マネーや経済に関するコラムなどの執筆を行う一方で、億単位の資産を運用する個人投資家の顔も持つ。著書「お金持ちの教科書」(阪急コミュニケーションズ)ほか多数。

連載コラム

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