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お金儲けは才能か?

よい環境を自ら構築できるのかが重要

一般的に、お金持ちの子供はお金持ちになりやすいといわれる。お金持ちの家に生まれればお金があるので、それを使ってお金を増やせるという意味ではない。お金持ちの家の子供は、ビジネスや投資のセンスを持っていることが多いのだ。

この話を聞くと、お金持ちは親から才能を引き継ぐように思えるが、そうではない。お金持ちの子供がお金持ちになりやすいのは、育った環境による影響が大きいと考えられる。

お金持ちの家では、必然的に両親が、お金持ち特有の思考回路や振る舞いで子供に接することになる。子供は知らず知らずのうちに、お金持ちの人の行動パターンから影響を受けて育つので、お金持ちになりやすい。

自分はお金持ちの家に生まれていないからといって諦める必要はない。後天的要因でお金持ち体質が身に付くのだとすると、できるだけそれに近い環境に身を置く努力をすれば、家庭環境にかかわらず、お金持ちの思考回路を身につけることは可能だ。

自分と同じレベルの人とばかり付き合っていると、なかなかそこから抜け出すのは難しい。成功者の多くが、自分よりワンランク上の人物と付き合うようアドバイスしているが、皆がこの話をしているのは単なる偶然ではない。お金持ちの才能は周囲の環境から得られるものであり、そのためには、常にワンランク上の人と付き合うことが大事になるのだ。

周囲にそうした人がいないという場合でも、手段ならたくさんある。お金持ちの人が語っていることを書籍やセミナーなどで吸収することも立派な環境構築である。人の話には誇張やウソがあるため、すべてを信じることは危険だが、一般的に成功した人の話はタメになることが多い。書籍の値段は決して安くないが、こうした重要情報を得られるなら、それほど高い出費ではないだろう。

自分の周囲の環境をよりよくする努力を継続できた人には、結果的に資産が転がり込んでくる。これがお金持ちに関する真の法則である。

*この記事は2018年2月に掲載されたものです。

 

加谷 珪一 (かや けいいち)

経済評論家。東北大学卒業後、投資ファンド運用会社などで企業評価や投資業務に従事。その後、コンサルティング会社を設立し代表に就任。マネーや経済に関するコラムなどの執筆を行う一方で、億単位の資産を運用する個人投資家の顔も持つ。著書「お金持ちの教科書」(阪急コミュニケーションズ)ほか多数。

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