資産を作ると今度はそれを維持するという課題が生じる
つまり凡庸な人は、共感や癒やしを求めて、自分と同質、同レベルの人との付き合いを重視しているわけだが、お金持ちの人がお金持ちの人と付き合っているのはどうしてだろうか。
お金持ちの人たちは、お互いにグチを言い合って、癒やしを得るために同じ人種と付き合っているわけではない。お金持ちがお金持ちと付き合うのは、お金持ちになる前からの習慣と同様、自分が成長するためである。
自分が成功者になってしまうと、自分よりも成功している人の絶対数が減ってくるので、自然と同レベルの人と付き合う形になっているに過ぎない。それでも、業種が違ったり、タイプが違えば、まったく新しい感覚やノウハウを持った人に出会える可能性は十分にある。
すぐに自分のビジネスや投資に結びつかないにしても、常に新しい知識を貪欲に仕入れようと努力しているからこそ、こうした付き合いを欠かさないのだ。
さらに言えば、世の中には上には上がいるものである。多少成功した程度では、さらに上の人など無数にいるし、日本の中で頂点を極めたとしても、世界に目を転じれば、天井はまだまだ高い。つまりお金持ちにとって、上の人を見つけ出すことはそれほど難しいことではなく、そこから新しい刺激や情報を得るという作業は一生涯続く。
お金持ちはお金持ちになってからが大変だといわれる。それは、一旦資産を持ってしまうと、それを確実に維持するという新しい課題を背負うからである。
資産拡大のフェーズは基本的に攻めの一手で大丈夫だ。あれこれムダな情報収集をしているよりも、チャンスがあればそこを一点突破した方がよい。だが資産を維持するフェーズに入るとそうはいかなくなる。ちょっとした社会の変化が、最終的には自身の資産額に多きな変動を与えることになるため、情報収集がより重要となってくる。
成功者から学びたいという意識は、実は成功者になってからの方が強くなるのだ。
こうした人たちにとって、ムダに時間を過ごす余裕はない。人との付き合いを厳選し、よりレベルの高い人と付き合おうとするのはごく自然な流れといってよい。
*この記事は2018年7月に掲載されたものです
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