ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

成功した資産家と引きこもりの若者の共通点

エンリッチ kaya1808-2

世の中には、世間一般から見るとまったく異なる社会階層に位置しているにもかかわらず、行動様式や思考パターンが似てくる人というのが存在する。

億単位の資産を持ったいわゆる資産家と、企業社会に馴染めず、引きこもりがちな若者。この2人にはまったく共通点がないように見える。だが、両者の思考パターンは結構、似ていたりするのだ。

実業家の世界では、一般的な努力
やスキルという概念が通用しない

一般的に、引きこもりやうつになりやすい人は、完璧主義でまじめな性格だと言われる。そうであるが故に、自身の限界を超えてがんばりすぎてしまい、次第にうまく自分をコントロールできなくなってしまう。まったく環境は異なるが、大きな成功を収めた人も、似たような環境に放り込まれる可能性がある。

運良く苦労をせずに資産家になれた人もいるが、大抵の資産家は、大きな資産を築くまでに、想像を絶する苦労をしている。しかも、ここでいうところの苦労というのは、一般的なレベルでの苦労とはケタが違う。

お金をたくさん持っているということは、事業や投資で成功できたとうことなので、その人の基礎的な能力が高いのは事実だろう。だが、億以上の資産を築くにためには、基礎的な能力が高いだけでは不十分なのだ。

例えば起業を例にとって考えてみよう。

起業には様々な形態があるので、一概には言えないが、ビジネスを立ち上げて5年後も生き残っている確率は数%以下ともいわれる。つまり100人起業して行き残るのはわずか5人である。しかも、生き残った人の8割は、ある程度の成功しかつかめていない。大きな成功を収められる人は、その5人の中で1人くらいなものだろう。つまり、大成功できるのは100人に1人という計算になる。

起業しようというくらいだから、仕事の能力にはそれなりの自信があるという人がほとんどだったはずである。自分の能力に自信を持った100人が競争して、その中でミリオネアになれるのはわずか1人。これがこの競争の現実である。

起業家の背後には、起業しなかった、あるいはできなかった人が無数にいる。そう考えると大成功できる確率は極めてゼロに近くなってしまう。こうした環境では「努力すれば報われる」「スキルや能力があれば成功できる」という単純な理屈が通用しないことは容易に想像していただけるだろう。

加谷珪一

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