お金持ちの人は、健康に気をつかっているので、ファストフードの類いはあまり食べないといわれる。この話は半分本当だが、半分はウソである。お金持ちの人は、物事を総合的に考える傾向が強く、食べ物についてだけ考えたり、仕事についてだけ考えるということはしない。ライフスタイルを最適化した結果として、ファストフードに行く頻度が下がっているに過ぎない。
ダイエットがしたいワケではない
ここ数年、お金持ちの間では糖質抜きの食事が一種のブームになっていた。単価の高いレストランなどでは、糖質や炭水化物を極力減らした調理方法を指定できるところもある。一般的には糖質抜きの食事はダイエットのためとされているが、お金持ちがこうした食事方法にこだわっているのは、単にダイエットをしたいからではない。
彼等が食事にこだわるのは、常に一定レベルの体調を維持したいからである。
社会的な立場が上がってくるにつれて、仕事の中身も変化してくる。体を使って作業をこなすという割合が減少し、情報を整理して判断するという割合が上昇する。自身の資産運用にも気をつかう必要が出てくるので、さらにクールな判断が必要となる。
こうした生活スタイルの邪魔になるのが、眠気といった生理現象である。
成功したビジネスマンの中には、ランチを食べない、あるいはごく少量にとどめておくという人が多い。その理由は、午後の時間帯に眠気が襲い、判断力が鈍ることを避けるためである。
こうした生活習慣を実践している人は、たいていの場合、睡眠に多めの時間を割いている。資産を作るまでの間は、睡眠時間を削ってガムシャラに働くというのはひとつのやり方かもしれないが、一定水準以上の資産を得た後は、ハードワークや短時間睡眠は逆効果となる。
クリアに判断できる時間を確保するため、ランチを制限するということであれば、当然、間食で甘い物を食べたり、砂糖がたっぷり入った飲料を飲むということも避けるはずだ。
つまり糖質抜きの食事というのは、糖質を抜いてダイエットをするというよりも、仕事に集中できる環境を追求した結果、行き着いたスタイルと解釈した方がよい。