ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

ファストフードを食べないという話の虚実

自身の食生活を維持することが重要

世の中では、ダイエットだけを目的に糖質抜きの食事を行い、過度に糖質を抜きすぎた結果、逆に健康を害する人も出てきているという。糖質を過度に制限すると、タンパク質を糖質に変化させるプロセスが働き、逆にタンパク質不足を起こし、筋肉が落ちたり、骨がもろくなるといった弊害が発生する。

糖質抜きの食事に限らず、食事による栄養のコントロールはバランスが大事であり、極端な取り組みはマイナスの影響が大きい。

お金持ちが実践する食事のコントロール法はダイエットとは少し異なる文脈で考えた方がよいだろう。

こうした事情を総合的に考えた場合、お金持ちがファストフードを積極的に食べるのかというと、おそらく、あまり食べないという結果になる。

仕事の時間中はできるだけ仕事に集中し、クリアな思考回路を維持したいと考える人にとって、ファストフード店に駆け込んで空腹を満たすという行為は、仕事の邪魔にこそなれ、あまりプラスにはならない。またそうした食事のスタイルを強いられているということ自体、あまりよい状態とはいえない。

結果として、積極的にファストフードを食べなくなるというだけで、お金持ちはファストフードを好まないといった話ではないのだ。

以前、本コラムではお金持ちになると、通うレストランを厳選するようになり、あちこち食べ歩くという行為が減るという話をした。さらにリッチになると、お店に行くという行為自体をやめてしまい、自分で店を持つようになる。これも、単なる見栄や自慢のためではなく、確立した自分の食生活を常に維持することが目的である。

お金持ちはお金の使い方も常に「ニーズ」が基本となる。つまり欲しいものを買うためにお金を支出するのではなく、必要なものにお金を支出する。食生活も同じで、「欲しいものを食べる」ではなく、「必要なものを食べる」と考えれば分かりやすいだろう。

*この記事は2018年11月に掲載されたものです

加谷 珪一 (かや けいいち)

経済評論家。東北大学卒業後、投資ファンド運用会社などで企業評価や投資業務に従事。その後、コンサルティング会社を設立し代表に就任。マネーや経済に関するコラムなどの執筆を行う一方で、億単位の資産を運用する個人投資家の顔も持つ。著書「お金持ちの教科書」(阪急コミュニケーションズ)ほか多数。

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