成功する前から場所へのこだわりを持つことが重要
場所が決まっていると、そのコミュニティから情報が得やすくなるし、仕事のやり方がさらに効率的になるよう環境をデザインできる。例えば、パソコンひとつとっても、出先でノートパソコンをそのまま使うよりも、机に座って、大画面の液晶パネルを接続した方が、圧倒的に視認性が高く、作業効率は上がる。
時間の使い方にも差が出てくる。IT機器の発達で隙間時間を活用できるようになったとはいえ、同じ1時間でも、細切れの1時間と、まとまった1時間とでは価値がまるで違う。できるだけまとまった時間を確保できるよう努力とした人とそうでない人との間には、いずれ致命的なまでに差が付いてくる。
以前、このコラムで成功者は静粛な環境を好むという話(過去の記事を読む)をしたが、これも同じ文脈で考えればよいだろう。
成功できない人は、こうした事を聞くと「人によって働く環境がちがうのだから、一概には比較できない」「お金がなければよい場所は確保できない」と、思考停止してしまう。そうではなく、仮にそうした環境になくても、できるだけ良い環境に近づけるよう努力するプロセスが、結果的に富を生むという話はなかなか理解されないようである。
アマゾンが第2本社の場所をどこにするのかで、全米のあらゆる都市を比較検討した結果、最終的にはニューヨークとワシントンDCの郊外に落ち着いた。オフィスの場所を決めるだけで、たいへんな力の入れようだったが、その理由は、同社創業者のベゾス氏が、場所の重要性を誰よりも知っていたからだろう。
*この記事は2019年1月に掲載されたものです
加谷珪一 著
「億万長者への道は経済学に書いてある」
クロスメディア・パブリッシング 1,598円
今から5年ほど前のアベノミクスで大規模な金融緩和が行われた際、経済学の知識を持つ人達は資産を増やし、金融緩和で何が起こるかを理解できなかった人達は投資チャンスを逃した。
本書は、金融緩和をはじめとした経済学の基本を解説。億万長者になる秘訣は「経済学」に書いてある?
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