日本企業がグローバル対応できないのは英語のせいではない
実業家や投資家がこうした振る舞いを実践できるのは、主体的にビジネスが出来ているという環境が大きいだろう。もし従業員として外国の会社に雇ってもらうという立場の場合には、ちょっと英語ができるというだけでは話にならないかもしれない。上司のご機嫌取りも含めて英語が達者でなければ、社内競争を勝ち抜くのは難しい。
だが、あくまでビジネスの取引をするだけなら、そこまでの語学力は必要ない。むしろ、ビジネス上のノウハウを持っている方がはるかに有利ということになる。
この話は、日本のグローバル化の問題と密接に関係している。日本社会はグローバル化に対応できていないと言われており、何年も前から英語教育の必要性などが叫ばれているが、日本がグローバル化できない根本的な原因は英語ではない。
近年の日本では、まったく儲からない低付加価値なビジネスがそのまま維持されるなど、経済活動の根源的なところで機能不全を起こしているケースが多い。
どのようなビジネスをすればどれだけの利益が上がり、そのためには相手に何を提供し、自身は何を求めるのかという部分がハッキリしていれば、おのずとビジネスは回っていく。こうした、健全なビジネスマインド、投資マインドを持っていれば、それは相手が国内であろうが海外であろうが、大きな違いにはならないのだ。
逆に言えば、この部分をうまくマネジメントできない人や組織は、国内であっても海外であってもうまくいかない可能性が高い。
特に日本は同質社会なので、いわゆる「あうん」の呼吸で、条件を明文化せずにビジネスや投資を進めるケースが多い。こうした手法は、同質社会でしか通用せず、いくら英語を学んだところで、異なる文化圏の人と適切にビジネスをすることは難しい。
お金持ちの人たちは、そうしたスキルを最初から身につけており、海外と日本を特に区別する必要がないのだ。
*この記事は2019年2月に掲載されたものです
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