「基礎的な能力は高いのだが、上司や顧客にそれを伝え切れていない」「うまく立ち回るのが下手なだけ」。こうしたセリフを耳にする機会は多いのだが、本当にそうだろうか。残念ながらこのような思考回路を持ったままで成功するのは難しい。なぜなら成功者というのは決して言い訳しないものだからである。
理由を列挙すると一目瞭然
冒頭の「基礎的な能力は高いのだが・・・」のケースを考えてみよう。こうしたセリフが出ているということは現状はうまくいっていないということになるが、論理的に考えてその理由は以下の3つしかない。
①能力が高いと思っているのは本人だけで相手はそう判断していない
②相手のレベルが低く自分の能力を理解できない
③相手に伝える能力が欠如している
論理的に理由を列挙すると一目瞭然なのだが、どの理由であったとしても、状況はかなり深刻であり、ゆっくりと構えているヒマはないはずだ。
もし①だった場合には、今後も仕事がうまくいかない可能性が高い。自分の能力が本当に高いのか、しっかり自己分析する必要があるだろう。基礎的な能力で欠けている部分があった場合には、全力でそれを補う努力が必要だ。
②の場合も緊急性が高い。周囲の人間があなたの能力を理解できていないのだとすると、一刻も早くそのコミュニティから脱出しなければならない。そうしないと半永久的にあなたは評価されないだろう。
自分の人生を冷静に振り返ってみれば分かると思うが、親類縁者や学校教師、学生時代の友人などは、皆、あなたの能力を的確に評価できただろうか。そんなことはないはずである。だとすると、今のビジネス環境においても、多くの人は適切に他人を評価できないと考えた方がよい。自分の価値を理解してもらえるコミュニティを全力で探さなければ、今後のキャリアを開拓することは難しい。
③のケースは限りなく①に近い。つまり相手に自身の能力を伝える技術というのは、ビジネスにおける基本中の基本ともいえる基礎能力である。これが身に付いていないと、いつまで経っても相手から評価されることはない。つまり、自身の能力を相手に伝え切れていない段階で、やはり大きな問題なのだ。