そんな相手としか関われなかった自分に責任がある
こうした行動が取れることの背景には、お金持ちの人は自立心が高いということがある。人と同じことをしていては大きな資産を作ることはできないので、お金持ちの人は必然的に孤独になる。誰もしていないことを、自分だけを頼りに邁進するためには、かなりのメンタル・タフネスが必要だ。
結果として、すべてを自己責任として処理できるマインドが身に付き、これがさらに事業や投資に大きな効果を発揮する。
自分の思った通りにならないと、普通の人は相手に対して怒りを感じる。お店などで店員に過剰にクレームを付けるモンスタークレーマーはまさにその典型といってよい。だが、自己責任の感覚が徹底している人は、そこで相手が悪いとは考えない。
そんな程度の仕事しかできない人間と関わらざるを得なかった自身の経済力や社会的地位に対して怒りを感じるのだ。本来であれば、もっと前にそうした事態になることを予見し、よい店に変えるなど、トラブルを回避できたはずであり、うまく事が運んでいないこと自体が問題なのである。
もちろん質の悪い仕事しかできなった相手にも不快な感情を持つが、それ以上に、自身に対する情けなさが勝ってしまう。こうした怒りは、さらに自身の立場を向上させることに向けられるので、相手に対しては発揮されないことがほとんどである。
これは友人関係でも同じである。
友人からいつも理不尽な対応をされて嫌気が差しているのに、なかなか関係を解消できない人がいる。お互いを尊重してこそ真の友人なので、「友達だから」というのはもはや言い訳に過ぎない。互いに信頼できる関係を築けないのであれば、その友人関係は解消すべきだが、それができないというのは、心の弱さが原因であり、それは100%自分自身の責任ということになる。
*この記事は2019年5月に掲載されたものです
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