成功者でも慢心は禁物
こうした感覚を持っていると、新しいことに対して常に否定的な感覚になる。何もしなければ失敗することはないので、自己を完璧に守りたいのであれば、何もしないのがベストになってしまう。
将来を予測することはできないが、とりあえず試してみることで、見通しが一気に明るくなるケースは多い。
事業というのは、経験がない人にとっては想像しにくい世界かもしれないが、実際にやってみればすぐにどのようなものか理解できるはずだ。投資も同じである。経験していないうちから、あれこれ悩んでもあまり意味はない。実際にお金を投じて株を買ってみれば、すぐに雰囲気はつかめるはずだ。
こうした割り切りができないと、新しいことへの抵抗感が大きくなり、否定的な感情もそれに応じて拡大してくる。人間のマインドというのは困ったもので、自らを正当化するため、新しいものは怪しいものだという価値観を作り出し、手を出すべきではないといった「ベキ」論まで作り上げてしまう。
ここまで来てしまうと、もはやチャレンジするのは困難という状況に陥ってしまう。こうしたネガティブなマインドは、成功者にも忍び寄る可能性があるので要注意だ。
ひとつの成功パターンに凝り固まってしまい、時代の変化に対応できなくる成功者は意外と多い。現時点でうまくっている人であっても、意識して変化を受け入れた方がよいだろう。
*この記事は2019年6月に掲載されたものです
加谷珪一 著
「定年破産絶対回避マニュアル」
講談社+α新書 929円(税込)
人生100年時代で何が変わる? 定年破産しないために50代から考える資産形成・マイホーム・保険・年金・介護・仕事。ちょっとのお金と、制度を正しく知れば、不安がなくなる。
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