ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

過剰なプライドと自己愛がある人は成功できない

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「過剰なプライドがない」というのは、多くの成功者に共通した特長のひとつである。日本人は表面的な態度とは裏腹に、極めてプライドが高い人が多く、これが成功を妨げている。つまらないプライドを捨てれば、多くの道が開けてくるにもかかわらず、それができない人が多い。成功者から見ると「なんでそんなことにこだわるの?」という話なのだが、これがなかなか難しいようだ。

謝ることができない人が多すぎる

近年、モンスタークレーマーのことがよく話題になる。常軌を逸したクレームを付けてくる顧客は一定数いるので、こうした相手に対しては毅然と対応すべきなのは言うまでもない。だが、顧客とトラブルになるケースの大半は担当者の対応次第で回避できるものであり、成功を勝ち取っている人が、こうした過剰なクレームを受けるケースは少ない(念のため付記しておくが、クレーマーの被害者に非があると言っているのではない。クレーマー側に問題があるのは当然だが、こうした非道な人間による被害を回避できる方法があるのに、それを行使しない人がいるという話をしたいだけである)。

それほど大きな問題ではなかったにもかかわらず、相手を激怒させてしまうのは、担当者に過剰なプライドがあり、簡単な謝罪ができないことが原因になっていることが多いのだ。

先日、知人の会社で発生したトラブルはその典型的なケースである。

その企業の営業担当者は、顧客に対して、必要書類の提供をお願いしていた。だが社内の手続きミスで、顧客名の登録ができず、その顧客は再度、書類を作成し、その企業を訪問する必要に迫られた。

顧客に連絡した担当者は「登録ができていないので、もう一度、ご来社ください」と伝えたが、相手は正式に書類を揃えていたので、当然のことながら釈然としない。「弊社が作成した書類に不備があったのですか」と聞かれると、その担当者は「そうではありません」と答えた。

顧客が「では、御社にミスがあって再度、書類を提出するのですか」と聞くと、何と担当者は「そういうことになると思います」と他人事のような言い方で返したのである。この段階で顧客の苛立ちはかなりのレベルとなっていたはずだが、相手の怒りが決定的となったのが、次の発言だった。

顧客は、「では、こちらは完全に二度手間になってしまうわけですね」と嫌みを言った。当然、顧客は担当者が「本当に申し訳ございません」といった趣旨の発言をするだろうと予想している。だが担当者は「この登録の件については、そういうことになりますね」と言い放った。

前回の訪問時には、顧客名の登録に加え、もうひとつの要件もあった。そちらについては、二度手間になっていないということを言いたかったらしい。この一言で顧客はブチ切れ、最終的には上司が謝罪して、何とか取引を続けるという状況になった。

加谷珪一

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