結局はメンタルが勝負を決める
ピンチを切り抜ける方法というのは、理論的にはひとつしかない。ピンチに陥っているということは、致命傷となる問題を抱えたということであり、この問題を処理しない限り、出口は見えない。
そうだとすると、致命傷となる問題を解決できるのであれば、大規模な損失も覚悟せざるを得なくなる。問題解決に何を賭けるのかという状況になるわけだが、賭けるものは、お金なのか、自身の名誉なのか、あるいは人的な資産なのか状況によって様々だろう。
いずれにせよ、ここで失敗してしまえばすべてを失うという状況に直面した時、投じることができるリソースは事実上、無限大である。確実にすべてを失うのであれば、過大な負債(負債というのは金銭的な負債とは限らない)を負うことなど大した話ではない。問題はその覚悟を決められるかどうかだけである。
すべてのリソースを投入できるという覚悟が決まり、あとは運を天に任せるだけという状況になると、人は多くの縛りから解放される。どんな失敗でも厭わないということになれば、逆に、多くの選択肢が思い浮かぶだろう。
おそらくだが、ピンチを前にすると出口が見えてくるという話には、こうした心理的メカニズムが作用していると考えられる。
成功者の多くは、極めて理詰めの人が多い。理詰めで物事を考えるからこそ、失敗が少なく成功の切符を手にできる。だが一方で、成功すればするほど、人はメンタルな部分を重視するようになってくる。ビジネスも投資も結局は人間の営みであり、最後はメンタルですべてが決まる。
*この記事は2019年7月に掲載されたものです
加谷珪一 著
「定年破産絶対回避マニュアル」
講談社+α新書 929円(税込)
人生100年時代で何が変わる? 定年破産しないために50代から考える資産形成・マイホーム・保険・年金・介護・仕事。ちょっとのお金と、制度を正しく知れば、不安がなくなる。
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