ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

なぜ子どもに稼ぎ方ではなく、使い方を教育するのか

エンリッチkaya1909b

お金というのは稼ぐのも難しいが、使うのも難しい。だが、稼ぐことと使うことのどちらが究極的に難しいかと問われれば、やはり使う方ということになるだろう。その理由は、お金を使うということは、究極的にはお金を稼ぐことだからである。これはどういう意味だろうか。

目的のない支出など存在しない

本当のお金持ちというのは、消費のためだけにお金を使うことはほとんどなく、すべては富を増やすためにお金を使っている。高級車ひとつとっても、希少価値の高いものは、中古であっても値が落ちないどころか、値上がりするものもある。一方、実際の耐用年数と減価償却の違いを利用して、節税を行ってキャッシュフローを増やしている人もいる。

自動車は自由に持ち運びできないが、高級時計の場合には、自由に持ち運びができ、買い取りによってキャッシュ化するのも容易である。資産家が高級時計を好むのは、非常事態における資産の保全という目的もある。

一定以上の資産額になれば、お金を払ってレストランを利用するよりも、自分でレストランを開業してしまった方が得になるケースもある。会食というのは経営者や資産家にとって非常に重要な場であり、いくらコストをかけても惜しくない。

自身の使い勝手を最大限追求したレストランを経営した場合、単体ではあまり利益にならないかもしれないが、多大なコストをかけて他人が経営するレストランにお金を落とすよりも、コストパフォーマンスは高い。
 
資産を何代にもわたって継承できるホンモノのお金持ちにとって、純粋な消費というものは存在しない。いかなる支出にも目的があり、損得勘定がしっかりと働いている。目的のはっきりしない支出というのは、仮に1円であっても、あってはならないものだ。

お金持の人は他人からケチに思われるケースがあるが、それは、支出に対する基準が厳しく、不必要な支出であればビタ一文お金を出さないことが原因である。

つまり、お金持ちというのは生きたお金の使い方ができる人であり、そうであればこそ資産家になれたと言い換えられるだろう。

冒頭で、稼ぐよりも使うことが重要と述べたのは、お金持ちは生きたお金の使い方をマスターする必要があり、これは非常に難易度が高いことだからである。

こうした事情から、お金持ちの家庭では、子どもに対して、一般家庭とは異なる教育を行うケースが多い。その典型的な例がお金の使い方に関する教育である。

加谷珪一

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