ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

サラリーマンのままお金持ちになれる人

時間を味方につけるという方法もある

すべてのサラリーマンがそうだとは言わないが、従業員の立場のままでは、使われる側のマインドからなかなか抜け出すことができない。従業員というのは法律で保護された立場であり、会社側はむやみに解雇できないし、毎月、必ず給料を支払わなければならない。

一方、自らリスクを取ってビジネスをしている人は、日常が戦争であり、自分のミスで案件を失えば、その月の自身の給料にも事欠く結果となる。本人が望むと望まざるとにかかわらず、徹頭徹尾、経営者目線が身に付いてしまうのだ。

同じ能力の人物であっても、これだけ違う環境に置かれると、その実力には大きな違いが生じてくる。経営者のマインドが身に付いていると、投資する銘柄を選定する場合でも、何も意識することなく「自分が経営者だったらどう判断するか」というシミュレーションが出来てしまうので、成功する確率が高くなる。

一方、サラリーマンの場合、会社では従業員のマインドをしっかり持っていないと組織とうまくやっていけないので、日常的には従業員マインドとならざるをえない。しかし、投資を行う時には、頭を完全に経営者モードに切り換えなければ、重要な部分で大きな判断ミスをしやすくなる。

投資というのは、いつ重要なタイミングがやってくるか分からない。リーマンショックのような事態が発生した時などはなおさらで、どれだけ迅速に動き、短時間で重要な決断を下せるのかが成否を分ける。

こうした切り換えを日常的に、しかも混乱なく行うのは極めて難しく、これをやりきるためには卓説した能力を必要とする。日常生活の感覚のまま投資の判断ができる実業家の方が、圧倒的にラクでカンタンに投資ができるのだ。

では、極めて難易度の高い投資に挑戦しなければならないサラリーマン投資家は、どうすれば成功できるのだろうか。

筆者の個人的な意見を求められれば、「実業家になった方が圧倒的に有利」とアドバイスするが、どうしてもサラリーマンのままで投資を成功させる必要があるという場合には、時間を味方につける以外に方法はないだろう。

株式投資は長期的に見ると年平均6%の利回りがある。これは相場が良い時も悪い時も含めた長期の平均である。もし20年から30年という長期にわたって継続的に株式を買い続けることができれば、最終的なリターンは、この平均値に近づくことになる。年6%であっても、複利で増えてくるので、30年後には極めて大きな資産額になっているはずだ。

結局のところ大きな資産を形成するには、それなりのリスクを取るか、時間を味方に付けるのかの2つに1つということになる。

*この記事は2019年9月に掲載されたものです

加谷 珪一 (かや けいいち)

経済評論家。東北大学卒業後、投資ファンド運用会社などで企業評価や投資業務に従事。その後、コンサルティング会社を設立し代表に就任。マネーや経済に関するコラムなどの執筆を行う一方で、億単位の資産を運用する個人投資家の顔も持つ。著書「お金持ちの教科書」(阪急コミュニケーションズ)ほか多数。

連載コラム

kaya_book_FS
加谷珪一 著
 
“投資”に踏み出せない人のための「不労所得」入門
イースト・プレス
単行本 1,620円/Kindle版 1,458円
 
ブログ、アフィリエイト、せどり、会員ビジネス、リース、株式、不動産……不労所得について知る「はじめの一歩」となる一冊。
 
まずすべきは、「どんな不労所得があるのか」「どうしたら収入源になるのか」「どの方法が自分に合っているのか」を知ること。「ネット時代」ならではの不労所得から、株式、不動産といった昔ながらの不労所得まで、億単位の金を動かす個人投資家でもある経済評論家、加谷珪一が解説する。

加谷珪一

Return Top