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The Style Concierge

なぜビジネスクラスで食事をしないのか?

コロナ危機をきっかけに高級店のデリバリー化が相次ぐ

今年に入ってからはコロナ危機の影響で、地上の高級レストランにおける食事も、一部の人にとってはストレスになりつつある。感染リスクを気にする一部のお金持ちは、高級レストランに出向いての食事をやめ、デリバリーで料理を自宅まで運んでもらっている。

高級店もこうした状況に対処するため、配達に応じるところも増えた。海外では日本よりもデリバリーが発達しているので、高級店も次々とウーバーイーツに対応している。国内でも一部の高級店がタクシー会社と提携して、顧客のところに直接、料理を運ぶサービスをスタートしている。配送料が数千円かかるケースもあるが、こうした料理をオーダーする人にとっては、ほとんど気にならないレベルの配送料といってよいだろう。

一連の行動から分かるのは、お金持ちというのは、何にお金を払うのかハッキリしているということだ。

飛行機のビジネスクラスで、豪華な食事やワインを提供するのは、狭く不快な機内空間の中でも、何とか楽しんでもらおうという航空会社の工夫に過ぎず、チケット代のほとんどは移動に費やされている。付加価値が移動に生じているのなら、その価値は移動という観点のみで判断すればよく、極論すると食べ物やワインはあってもなくてもよい。

一方、地上では理屈上、ベストな食事を楽しめるはずなので、ここで妥協する必要はない。

コロナで外出がままならないなら、数千円の配送料を払ってでも、美味しい食事を家にとどけてもらう。逆に言えば、その配送料が高いと思うなら、牛丼のデリバリーで済ませてしまう可能性もあるだろう。1日あたり数千円の追加支出で美味しい食事を楽しめるなら、そのコストはほとんど無視してよいレベルと考える。これがお金持ちにとってのメリハリということになるだろう。

加谷 珪一 (かや けいいち)

経済評論家。東北大学卒業後、投資ファンド運用会社などで企業評価や投資業務に従事。その後、コンサルティング会社を設立し代表に就任。マネーや経済に関するコラムなどの執筆を行う一方で、億単位の資産を運用する個人投資家の顔も持つ。著書「お金持ちの教科書」(阪急コミュニケーションズ)ほか多数。

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