多くの人が日常的によく使っているが、成功者はあまり使わない言葉というのは結構、多い。こうした言葉を使っていると、自分では気付いていなくても、自身の状況が周囲に知られてしまう結果となる。
絆ではなくチームワーク
成功者があまり好まない言葉のひとつに「絆」がある。絆という言葉を多用するトップもいるが、こうしたトップは社員が低賃金や重労働であることを正当化するために使うことが多く、大成功して大きな利益を上げている企業のトップにはあまりあてはまらない。
絆は相互の助け合いや結びつきというニュアンスで使われているようだが、本来の意味は「しがらみ」である。中国ではしがらみというニュアンスが圧倒的に強く、中国に進出した日本企業の幹部が絆を連発して、現地採用の社員がしらけてしまうというのはよく聞く話である。
相互の助け合いというのは、貧困などリソースが限られている時に発揮されるべきものであり、そもそもビジネスにおいては不要の概念である。しっかりとしたビジネスモデルであれば、各人が与えられた役割をきっちりと果たすことで仕事は回っていくはずであり、個人が過度な重荷を背負う必要はまったくない。
このように、うまく回っていくビジネスを設計することが経営者の仕事であり、これができた企業は高い利益を上げているはずなので、結果的に経営者は高額報酬を受け取ることができる。つまり成功するビジネスに必要なのは、絆ではなくチームワークであり、チームワークというのは組織のトップが人為的に作り上げるものである。
以前も言及したことがあるが、「ピンチをチャンスに」というのも成功者があまり使わない言葉だ。
ピンチはピンチであり、そこから切り抜けることに全力を注ぐ以外に問題解決の方法はない。結果的にピンチがチャンスに変わることはあるが、それはピンチを切り抜けた結果に過ぎない。この言葉をやたらと使っている人は、本当にピンチに陥った経験がないか、大したことがない話をあたかも重大であるかのように見せかけているだけである。
「緊張感を持って」という言葉も成功者はあまり使わない。
実際にビジネスや投資で成功した人なら分かると思うが、成功するためには四六時中、ビジネスや投資のことを考えているのが当たり前であり、緊張感を持たない時間など存在しない。だが、ずっと緊張感を持ったままでは、メンタルがやられてしまうので、その中でうまく緩急を付けるテニクニックを自然と身につけていく。
「緊張感を持って物事に対処する」という話は、労働時間があらかじめ決まっていて、時間に対して給料が支払われる人の感覚といってよい。小学校や中学校ではよく「集中しなさい」と教師から注意されたと思うが、これも時給的なマインドを育成する効果がある。こうした感覚にどっぷりと使ってしまうと、基本的に指示がなければ仕事ができない人になってしまい、成功からはどんどん遠ざかって行く。
本物の成功者は仕事をやらされているという感覚がないので、高い緊張感と高揚感、そしてリラックス感がうまくがミックスされた状態で毎日の生活を送っている。逆に言えばこの感覚を身につけられるかどうかが成功者になれるかのカギを握るのだ。