メンタルは基本的に本人次第
一連の思考パターンに加えて重要となってくるのが、失敗しても諦めずに何度もチャレンジできる精神力と、チャンスと感じた時に即座に行動できる決断力である。
ビジネス経験が豊富な人ほど実感として理解している通り、ビジネス・チャンスというのは意外と数多く到来するものである。だが多くの人は、チャンスに巡り会っても即座に動くことができず、そのチャンスを生かせない。あるいは、チャンスをチャンスであると認識できず、みすみすその機会を逃してしまうのだ。そして本人は「自分にはなかなかチャンスが巡ってこない」と嘆いている。
忍耐力も同じで、少しの失敗で諦めてしまう人と、仮に仕切り直しをしたとしても、何度でもチャレンジする人とでは最終的な成果が違ってくる。
こうした精神力は必ずしも親から遺伝するとは限らないし、後天的に確実に身につけられる保証もない。一般的には、スポーツなどに取り組むことで精神力を鍛えられると理解されているが、スポーツ経験のある人がビジネスにおいて強靱なメンタルを発揮するとは限らないのが厄介なところである。
一見するとメンタルが弱そうな人が、イザとなると強力なリーダーシップを発揮するのはよくあるケースであり、こうした精神力がどこからやってくるのかは不明だ。
成功しやすい行動パターンを身につけるなど、具体的なノウハウについては、周囲に成功者がいる方が圧倒的に有利である。その点では親が成功者というひとつのアドバンテージになるだろうが、あくまでそれはノウハウ・レベルの話である。
一方、成功に不可欠な精神力というのは、まさに本人次第といってよい。これは親から遺伝されたものでもなければ、学んで身につけるものでもなく、本人の思いがどれだけ強いのかに依存している。少なくとも、身体能力や知能テストのように最初から結果が見えているわけではなく、どんな成功者もうまくいくのか分からない中でのスタートとなる。
少なくとも、親から与えられた能力のみに依存しないという点では、ビジネスや投資は受験勉強などよりも圧倒的に公平である。社会が不公平であることを嘆く人が多いという現実を考えると、ビジネスや投資に積極的にチャレンジする人が少ないのはもったいないことだ。
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