バリ島は、最近東京にもホテルを開設した超高級ホテルのアマンリゾートが、3つもホテルを展開しています。日本ではあまり報じられていませんが、アマンホテルは現在ロシアの大富豪と、米国の実業家の間で所有権を巡って法廷闘争が繰り広げられています。アマンはそのブランド価値を守るために値引きをしないことで知られており、富裕層からの評判は高い一方、客室稼働率は約30%と他の超高級ホテルチェーンと比較して、低くとどまっています。アマンブランドの評価は私のシンガポールの周囲でも高いですが、グローバルで27しかないアマンブランドホテルの内、3つがある本拠地ともいえるバリ島で、ムリアなど手ごわいライバルが次々と登場していることは脅威ではないでしょうか。
ムリアだけでなく、タイの銀行がオーナーであるため、近年アジアでのホテルポートフォリオを拡大している、ドイツ発の超高級ホテルブランド「ケンピンスキー」もバリ島に初めてのホテルを建設していました。このケンピンスキーは、ニッコーホテルとリッツカールトンの間に建設されています。ニッコーホテルのラクダに乗ってビーチを歩くプログラムに子供を連れて行った時に、ケンピンスキーの建設現場を見ましたが、こちらもムリアに匹敵するような巨大な規模のホテルとなりそうです。
ニッコーホテルバリは約20年前に建設されました。こちらもムリアやリッツカールトンと同じく、崖沿いに建てられた巨大ホテルで、建築年数の割にはきれいに保たれていますが、どうしてもムリアや今後建設されるケンピンスキーと比べると規模や高級さの点で見劣りします。バリ島のホテルシーンを見ているだけでも、インドネシアやタイなど新興国の勢いと、日本企業の低迷ぶりを感じさせられました。
フォーシーズンズやリッツカールトン、さらには本稿に登場したアマンやケンピンスキーもそうですが、超高級ホテルはホテルビジネスよりも、ホテルブランドを冠した高級レジデンスを販売することでの収益の方が大きくなってきています。アマンも、ホテルの客室稼働率は前述したように低くとどまっていますが、レジデンスは平均価格10億円以上のヴィラがこれまでに1,000件近く売れているそうです。
今年には、日本から星のリゾートがバリ島に初めての海外ホテルを作るようですが、ホテルだけではなく日本の高いサービスホスピタリティを活かしたレジデンスも作れば、シンガポールに移住している私たちのお客様も高い関心を持つことに間違いないですから、そこまで事業を拡大することを期待しています。