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シンガポールの50周年記念式典

去る8月9日にシンガポールでは、盛大な建国50周年の記念式典が開催されました。この日は、電車やバスなど全公共交通機関が無料となり、さらにシンガポールの繁栄の象徴であるマリーナ・ベイ・サンズが見下ろすマリーナエリアに、数万人が収容できるスタンドが設置され、シンガポール空軍の戦闘機によるエアショーや、周辺の高層ビルから噴射する花火などスペクタルなショーが展開されました。特に、写真にあるマリーナ・ベイ・サンズの上を、50の形をした戦闘機の編隊が通過した時には、盛り上がりが最高潮となりました。

エンリッチ シンガポール

私たち家族は、マリーナエリアにある高層コンドミニアムに住む知人宅でこれらのショーを観ることができ、特にエアショーは日本であまり見る機会がなく、シンガポールの高層ビル群の上で展開されるので、その迫力に手に汗を握りました。

8月9日までの1週間は、これまでのシンガポールの歩みをまとめたプログラムや、リー・クワンユーによる重要な演説が終日テレビで流され、街中もシンガポール50周年を意味するSG50と書かれた垂れ幕と国旗で埋め尽くされていました。特にマレーシアから見捨てられる形でシンガポールが独立したときのリー・クワンユーの名演説を始めてテレビで頭から最後まで見ましたが、人口も少なく、資源もエネルギーも食料も何もない小さな島国の先行きを不安に感じて、思わず涙するシーンもあり、外国人の私たちの心も打つものでした。

知人宅でショーを観ているときに印象的な出来事がありました。マリーナエリアに仮設のスタジアムが作られ、そこにリー・シェンロン首相をはじめとしたシンガポールのリーダー層や、シンガポールの市民権・永住権を持っている人の中から抽選で当たった5,000人が収容されていて、陸軍・海軍の軍事パレードはこのスタジアムの前を通っていました。

この様子がテレビ中継されていたので、エアショーや花火を窓から見ながら、同時にテレビも見ていたのですが、この中継でシンガポールの国歌や、“Home”というタイトルのシンガポールの建国記念日のテーマソングが流された時に、それまで遊んでいた子供たちの中で、現地校に通う子たちが全員立ち上がって、胸に手を当てながら歌い始めたことです。

うちの子供はインターナショナルスクールに通っているのでポカンとしていましたが、現地校では数ヵ月に渡ってこの建国記念日に向けて、全校で上記の歌を練習してきていたので、子供たちの反応は自然と出たようでした。ただ、子供たちも含めた画一的な仕草や、空軍によるエアショー、陸軍・海軍のパレードが首相の前を通るシーンなど、中国や北朝鮮のそれを彷彿とさせ、シンガポールが「明るい北朝鮮」と呼ばれるのも、むべなるかなとも感じました。

岡村聡

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