ここ3年、東南アジア主要国の首都の中で最も不動産価格が好調に推移したジャカルタですが、未だに外国人による住宅投資には厳しい規制が課されています。その中でこれだけの上昇を示したのは、東南アジアで最大の約2.5億人という人口を誇り、ジョコ・ウィドド政権のもとで都市インフラの整備が進んでいくことを期待して、海外から不動産会社や機関投資家による資金流入が進んでいることの表れでしょう。
いずれは経済発展とともに、外国人による不動産投資が解禁されていくでしょうから、そのタイミングではさらなる価格上昇も期待されます。ただ、外国人に不動産投資が解禁された後はどの国でも一気に価格が急騰してバブル相場となり、その後に大きな調整局面が来ることが多いですから、そのことには留意しなければなりません。
まだ、不動産市場が成熟していないのでナイト・フランクによる統計はありませんが、東南アジアの主要都市で長期的に最も価格上昇が期待されるのはフィリピンです。独裁政権により抑圧されていた経済ポテンシャルが、最近一気に解放されたことで中国を上回ってアジアの主要国で最高のGDP成長率を直近記録しています。

国民の多くが英語に堪能であることを活かして、コールセンターではインドを抜いて世界最大の規模となり、さらにより高度なサービス業の進出も増えてきていることで、フィリピンの首都マニラでは高級住宅への需要が高まっています。こうした需要を当て込んで、グランドハイアットやトランプといった高級ホテルブランドを冠したコンドミニアムも次々に完成しています。
国民の平均年齢が24歳ととても若く出生率も依然3以上と高いため、2050年まで人口増加が期待できるフィリピンでは、長期的な不動産価格の上昇が期待でき、さらに経済成長も順調に進めば高級住宅の価格はその中でも平均以上に上げるでしょう。
このように不動産価格の推移を見れば、その国や都市の経済や社会構造もよく理解できます。これらの国や都市を訪れた時に時間があれば、ぜひ不動産視察も行ってもらって、どのような人がどのような期待を持って投資しているのか見れば、経済的・社会的理解が深まりますので、ぜひ実践してみてください。