現地の子供たちは10歳のタイミングで天才児の認定を受けるテストを受け、非常に優秀な成績を残して天才児とされれば12歳のタイミングでシンガポールのどの中学にもほぼフリーに進学できます。そして、12歳の時に全国統一テストがあり、この成績に応じて進学できる中学が決まります。ナンヤン小学校などトップクラスの小学校はこのテストの優秀者を何人出すかを、日本の名門進学校が東大進学者数を競うように争っています。一方、このテストの結果が悪い生徒は中学にも進学できないなど競争主義が徹底されています。
あまりに学力偏重で厳しい環境の弊害も出てきているため、カリキュラムにスポーツや芸術を増やす動きも出てきていますが、現地の富裕層の中にはジョホールバルのマルボロカレッジなど海外のインターナショナルスクールに子供を通わせる例も出てきています。イスカンダル計画という野心的な都市開発計画の一環として、ジョホールバル州政府は英国の名門校であるマルボロカレッジを誘致しましたが、他にもバンコクに英国の超名門校であるハロウ校が分校を設立するなど、東南アジアでは欧米の名門校の進出ラッシュとなっています。
シンガポールに居ると教育がグローバルビジネスとなっていることを実感します。筆者の娘が通うキャンパスも、3年前に300億円以上の巨費が投じられて新しく作られ、50mプールやゴルフシミュレータ、3Dプリンターまである設備に圧倒されて入学を決めました。
運営会社は世界最大級のプライベートエクイティファンドが株主で、アジア全域に60ものインターナショナルスクールを展開しているので、各国の親たちのニーズを把握したうえで学校をどう展開していくのか決定し、資金調達にも優れているので上記のように巨費を躊躇なく投じて傘下の学校網を拡大しているようです。
インターナショナルスクールにしても、現地校にしてもシンガポールの教育事情を目の当たりにしていると、日本の特に幼児教育はいい意味でも悪い意味でもとても牧歌的に感じます。