オークランドのあちこちを視察して感じたのは、住宅開発にも地形などの自然環境が上手くいかされていることです。オークランドは湾を挟んで広がっていますが、海岸が崖になっていたり街中でも急な坂があったりととても起伏に富んでいます。それをうまく生かして、海が見渡せる高台の地域には、町の中心部であっても200-300坪はある余裕を持った敷地の高級住宅がことごとく作られていたことが印象的でした。
オークランドの中心部からほど近い、こうした200-300坪の敷地面積の住宅の価格は約2億~3億円と、シンガポールで普段生活している身からするととても割安に感じますが、現地の人からするとかなり割高感が出てきているようです。ただ、前回の記事でも紹介したように富裕層を中心に海外から移民を積極的に受け入れているニュージーランドの人口は増えていて、オークランドでもこうした移民たちによる住宅需要に供給が追い付いていないことは多くの人が認めていました。
2015年後半からの中国を中心とした新興国の経済成長の低迷と、世界的な金融市場の変調によりアジアの多くの都市でも不動産価格は下落していますが、オークランドにはこうした都市にみられる供給過剰というマイナス材料がないため、大きく値下がりするリスクは低いかもしれません。
ところで、今回オークランドを巡っていて感じたことは日本のことが好きな現地の方がとても多いことです。不動産の案内をしてくれた現地のエージェントは2人ともこの夏(オークランドでは12月~2月が夏にあたる)に北海道を訪れてスキーを楽しむ計画だと話していて驚きました。2人とも旅行の期間は10日~2週間ほどで、ライフスタイルが良いニュージーランドでは海外に遊びに行く期間もこれくらいの長さが当たり前のようです。
火山活動が活発な島からなる国土で起伏に富んでいて、さしが入った牛肉や生の魚介類を好むなど食文化も似ている日本は、ニュージーランド人にとって馴染みやすいようです。さらに南半球と北半球で季節が逆であるので、スキーなど季節スポーツを日本とニュージーランドを行き来すれば年中楽しめることも魅力的です。
ニュージーランドの北島の中央部には日本のそれを彷彿とさせる、温泉も楽しめるスノーリゾートがあります。逆に、日本の夏にニュージーランドは最も寒くスキーが楽しめるので、移住を考えている人はまず日本と違った季節を楽しむために旅行することから始めてもいいかもしれません。