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シドニー 1/2 
中国人富裕層が殺到するシドニー

住宅だけでなく、安定した利回りが期待できるシドニーやメルボルンといった大都市中心部のオフィスビルにもチャイナマネーが流入していて、現地のデベロッパーがフェアバリュー4億豪ドル(約340億円)~5億豪ドル(約430億円)と見るオフィスビルに、8が中国人にとって縁起の良い数字であるため8.88億豪ドル(約750億円)で買収オファーがあるなど、あまりに提示する価格が高すぎてマーケットが荒らされていると、現地の不動産関係者は不満を持っています。

ダブルベイを始めとして、オペラハウスから15分~20分フェリーで移動すると、マリーナを備えた美しい高級住宅エリアが広がっています。以前に紹介したオークランドと非常に雰囲気が似ていますが、あえて違いを探すとシドニー近郊の方が少し住宅の密度が高いことです。それと連動して、レストランなども郊外を含めてシドニーの方が充実していて、ダブルベイの街を散策していて見つけたお寿司屋さんに入りましたが、日本人シェフが料理長を務めていて料理のレベルも高かったです。

エンリッチ シドニー5

オークランドとワイヘキ島にももちろん中国人富裕層は来ていましたが、シドニーにおける存在感にはまだ遠く及びません。シドニー郊外の美しい海辺の景色が、中国人富裕層の流入により雰囲気も含めて変わらないことを願っています。

このように観光客も移住者も中国人を軸として動いているシドニーですが、そのことを見据えた大きなプロジェクトも進行中です。マカオでもシンガポールでもそうですが、カジノリゾートの最大のお得意様は中国人です。株式市場や不動産市場の乱高下にも表れていますが、中国人のギャンブル好きは国民性ともいえるほど強烈で、私もアジアのカジノリゾートで彼らの賭けっぷりの良さを見ているだけで興奮して、自分で賭けることを忘れるほどです。

オーストラリアではカジノが合法でシドニーにもいくつかカジノリゾートがありますが、これら既存のものをはるかに上回る規模のカジノリゾートが計画されています。この計画の主導者はオーストラリアのカジノ王ジェームズ・パッカーです。ジェームズ・パッカーはオーストラリア最大のカジノグループであるクラウン社のオーナーで個人資産は約45億米ドル(約5,000億円)と、オーストラリアでトップ10に入る大富豪です。

この連載では世界の各都市の最新事情を、その都市を代表する大富豪とセットで紹介していますが、ジェームズ・パッカーは今年1月に歌姫マライア・キャリーとの婚約を発表し、話題性も十分の大富豪でしょう。

クラウングループはこれまで、マカオやマニラで大規模なカジノを手掛け、オーストラリアでもメルボルンやパースなどにカジノリゾートを所有していますが、今回のコラムで紹介した中国人を中心として国際化が進むシドニーで、予算20億豪ドル(約1,700億円)と同グループで史上最大規模のカジノリゾートを計画しています。

次回はこのカジノリゾート、クラウンシドニーを中心としてシドニーのリゾートシーンの魅力をより深く紹介します。

岡村聡_300

岡村 聡 (おかむら さとし)

シンガポールで資産運用のアドバイスを行う株式会社S&S investments代表取締役。 マッキンゼー&カンパニー、アドバンテッジ・パートナーズなどを経て、2010年11月に妻と2人で同社を設立。現在、資産運用に加えて、海外移住や海外不動産投資などのコンサルティングも行っている。著書に「世界の超富裕層だけがやっているお金の習慣」(KADOKAWA/中経出版)など。

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