ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

スイス 1/2 
プライベートバンキングの街チューリッヒ

エンリッチ チューリッヒ 

プライベートバンキングの街チューリッヒ

今年の7月から8月にかけて、シンガポール→チューリッヒ→ニース→モナコ→ロンドン→ニューヨーク→マイアミ→カリブ海クルーズ→オーランド→サンフランシスコ→日本→シンガポールと欧米を中心に世界一周旅行に出かけます。シンガポールに拠点を持って3年間、アジア・オセアニアを中心に活動してきましたが、ニューヨークやロンドン、モナコに移住を希望するお客様が出てきたことに加えて、私たちもグローバル都市の最新事情を把握したいという思いから、今回の旅行を企画しました。

これまで、月2回書いてきた本連載も、この旅行で色々な都市を訪れて、各都市の様子をタイムリーにお伝えするためにも、毎週連載に頻度をあげてお届けします。

エンリッチ チューリッヒ 街

最初の都市はチューリッヒです。チューリッヒを訪れるのは今回の旅行が初めてでしたが、チューリッヒ湖畔にコンパクトにまとまった都市の様子はスイスのイメージ通りでした。スイスは国際的には永世中立国として知られていますが、国家としては非常に力を持った地方自治体の集合体という様相です。スイスは富裕層の移住先としてメジャーですが、移住先としての魅力に大きく関わる税制も、地方自治体によって大きく異なります。税制という意味ではチューリッヒが属するチューリッヒ州はかなり独自の動きをしているので、このポイントについては次回のコラムで詳しく紹介します。

チューリッヒに滞在していて感じるのは、ドイツの影響が非常に強いことです。スイスの北部に位置していてドイツと近く、アルプス山脈でフランスと隔てられているチューリッヒは文化的にドイツの色が濃く、食べ物もビールにシュニッツェルやソーセージとドイツ風のものが街のあちこちのレストランで食べられます。

ビール
エンリッチ チューリッヒ レストラン

街中にもドイツ語の表記が中心で、レストランのメニューもドイツ語だけで英語すらないところもあったので不便に感じました。

チューリッヒは金融のイメージが強いスイスの中でも、最も多く金融機関が集まった都市です。プライベートバンキングで世界最大手であるUBSも2番手であるクレディスイスもチューリッヒに本社を置いています。写真にあるように、両行のオフィスを見渡せる街角もあり、こうした場所に立つとプライベートバンキングのハブに来たという思いを新たにします。金融機関のオフィスが集まる街の中心部には、ハイブランドやこちらもスイスといえば多くの人が思い出す時計のショップ、さらにはチョコレートを中心としたスイーツが売りのおしゃれなカフェが集まっていて、豊かなライフスタイルの一端が垣間見えます。

UBSとクレディ・スイスが並ぶ
UBSとクレディ・スイスが並ぶ

チューリッヒを訪れて感じたのは、富裕層が集まる都市として香港やシンガポールと比較して、ライフスタイルが優れていることです。この3年アジアを中心に移動していたので、チューリッヒに滞在していると、どこに居ても人が少なく静かだという印象を持ちました。街中もとても清潔で、アルプス山脈からの清涼な水が、町のそこかしこにある泉から湧き出ていて、そのまま飲んだり生活用水として使えたりできて、気分を豊かにしてくれます。物価は確かに日本と比べると高いですが、レストランの相場はシンガポールよりも安いと感じることも多く、食事のレベルもミシュランの星付きレストランが続々と進出してきているなど高くなってきています。アジアと比較すると歴史の厚みからくる文化的な魅力も強く感じます。夕方に散歩していた時に入った教会にシャガールの素晴らしいステンドグラスがあるなど、わざわざ観光スポットを訪れなくとも、街中を散策しているだけで文化の薫りを感じられます。

岡村聡

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