今回は時間に限りがあったので参加できませんでしたが、チューリッヒからはアルプスの名峰を訪れたり、美術品のコレクションが世界的に名高いリヒテンシュタイン王国を訪れたりする日帰り旅行も数多く用意されているので、スイスへの移住に関心がある方はチューリッヒに拠点を置いて数日から1週間ほど滞在すれば、スイスでの生活の魅力や周辺国を含めた自然のすばらしさをイメージしやすいでしょう。
この連載は世界の各都市を代表する富豪を紹介しながら各都市の魅力を紹介していますが、スイスには数多くの著名人が移住しています。文化的に近いためドイツ人の移住が目立ち、有名人ではテニスプレーヤーのボリス・ベッカーや、F1レーサーのミハエル・シューマッハもスイスに移住しています。シューマッハはスキー事故にあう前からスイスに移住していて、現在はレマン湖のほとりにある自宅で療養しているようです。
チューリッヒに移住している富豪の中で最も大物と言われているのが、ロシアの大富豪であるビクター・ベクゼルベルグです。ベグゼルベルグは、エリツィン政権の国営企業の民営化に乗じて世界最大のアルミ生産会社を築き、そこからの収益により石油やガスなど様々な産業を傘下に入れて、約1.5兆円もの資産を手に入れたロシア有数の大富豪です。
ベグゼルベルグはチューリッヒに生活の拠点だけでなく、自分が所有するビジネスの持ち株会社も移転しています。世界的な金融機関の多くが拠点を置くチューリッヒに本社があることで、資金調達やM&Aを機動的に行えるという判断でしょう。ベグゼルベルグは毎年1月にスイスのリゾート地ダボスで行われるダボス会議にも毎年姿を見せているようです。
このようにチューリッヒを始めスイスは海外から多くの富豪を集めていますが、多くの他の富裕層の移住先と同じく現地に昔から住む人達からの反発が強まってきており、曲がり角を迎えています。
次回はスイスの税制や移住制度の詳細をふまえながら、こうした現地コミュニティとの軋轢についても紹介します。
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