ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

ニューヨーク 2/4 
繁栄を極めるニューヨークの高級不動産シーン

バカラが手がけるレジデンス
バカラが手がけるレジデンス

57thストリート沿いの物件ではありませんが、高級ブランドである「バカラ」が手掛けるレジデンスも同じビルに入居しているバカラホテルのサービスが受けられます。今回は日本人大富豪でNYへの移住を考えているお客様に同行してこうした超高級物件を視察しましたが、同時に中国人やロシア系の人など多様なバックグラウンドの人が視察していました。

高層コンドミニアムを視察していて驚いたのが、フロアごとにビューが変わることで大きく値段が変わることです。One57であれば、写真にあるように50階くらいまではセントラル・パーク側のビューに他の建物が入ります。

One57から望むセントラルパーク
One57から望むセントラルパーク

見えるビルもフォーシーズンズ・ホテルなど一流のホテルですが、やはりセントラル・パークを何にも邪魔されずに見られる部屋の人気が高く、そうした完璧なセントラル・パーク側のビューが楽しめる部屋はユニットが大きく作られていることもあり、同じ向きの部屋であるにもかかわらず、フロアが数階ちがうだけで価格が1,000万ドル(約10億円)ちかく違いました。

もう1つ驚いたのは、One57に限らず432パーク・アベニューなど高層コンドミニアムはどれも最上階のペントハウスが売れていたことです。これらの物件の最上層はフロアを2つ、3つぶち抜いて1部屋にしており、1,000㎡以上ある桁違いの広さで、価格も1億ドル(約102億円)以上しますが、そうした物件は軒並み売却済で、NYの富を集める桁違いのパワーを感じました。

ちなみに、One57で最も高い1億ドルの部屋はカタールの王族が買っており、既に住んでいる人たちにも中国人など白人以外の人種が目立ちました。上記のように厳格な雰囲気のコープを嫌って海外の富裕層は57thストリート沿いなど新規に開発される高層コンドミニアムを購入しているようです。

ただ、同じく世界から富豪たちを集めているロンドンとNYが異なるのは、自国の富豪もこうした物件を購入していることです。One57や432パーク・アベニューのペントハウスに比べると価格は安いですが、コープでも数十億円の部屋の売買は行われていますし、新規の高層コンドミニアムのペントハウスも米国人が積極的に購入しています。

実際にこれまででNYで最高額となる、現在建設中の220セントラル・パーク・サウスの2億ドル(約205億円)もするペントハウスを購入したのは、米国人のヘッジファンド・マネージャーであるケン・グリフィンです。

世界で最もパワフルな都市であるNYにおいてセントラル・パークを何物にも邪魔されず見られる部屋を所有したり、際立ったブランドのレジデンスを購入したりすることは、成功者にとって国や人種を問わず憧れとなるようです。自国からも海外からも富豪たちを集めるNYの高級不動産シーンは浮き沈みがありながらも、中長期的には確実に価値が上昇していく投資対象として、これからも繁栄していくだろうと今回の視察を通じて確認しました。

次回は、NYのハイエンドのライフスタイルについて紹介します。

岡村聡_300

岡村 聡 (おかむら さとし)

シンガポールで資産運用のアドバイスを行う株式会社S&S investments代表取締役。 マッキンゼー&カンパニー、アドバンテッジ・パートナーズなどを経て、2010年11月に妻と2人で同社を設立。現在、資産運用に加えて、海外移住や海外不動産投資などのコンサルティングも行っている。著書に「世界の超富裕層だけがやっているお金の習慣」(KADOKAWA/中経出版)など。

連載コラム

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岡村聡 著
 
『世界の超富裕層だけがやっているお金の習慣』
KADOKAWA 1,540円(税込)
 
日本とシンガポールで、超富裕層を対象にファミリーオフィスを経営する著者が、「本当の富裕層」から学んだ、お金を使いこなし、豊かな人生をおくる術を解き明かす一冊。

岡村聡

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