カリブ海のタックスヘイブンのついての2回目は、BVI(ブリティッシュ・ヴァージン・アイランズ)など実際に今回の視察旅行で訪れた場所を中心に、タックスヘイブンとされる場所はどのような所なのか紹介していきます。(カリブ海クルーズ1/3)
世界を騒がせたパナマ文書
タックスヘイブンが近年、世界中で注目を浴びるきっかけとなったのがパナマ文書です。パナマはタックスヘイブンとしてはメジャーな存在ではありませんでした。ただ、タックスヘイブンの企業設立を行う法律事務所としては世界有数の規模を誇る、パナマのモサック・フォンセカのサーバーがハッキングされたことで情報が流出し、これを世界中のジャーナリストが協力して分析した上で、2016年4月に一連の文書にまとめて発表したことで大騒ぎとなりました。
特に、多くの国家元首の名前が掲載されていたことは一部の国で政治的なスキャンダルとなり、アイスランドでは首相が辞任する事態にまで発展しました。また、パナマ文書により第二次世界大戦中にナチスドイツによって略奪されたモリディアーニの名画の所有者が判明して、スイス当局によって押収されたということもニュースとなりました。
一方で、情報の流出元が法律事務所であったため、タックスヘイブンの法人設立に関わった人物や法人まではたどり着けたものの、その後の資金の流れの解明にはいたらず、名前が出た人物や法人への課税など実質的なアクションにはほとんどつながりませんでした。結局、なんとなく権力者や富豪たちは自分たちが知らないスキームを使ってずるい事をしているという、漠然とした反感を持つ人が増えた程度に、多くの国におけるパナマ文書の影響はとどまりました。