ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

カリブ海クルーズ 2/3 
カリブ海のタックスヘイブンの成り立ち

大豪邸が立ち並ぶBVI

写真にあるように、BVIの島を船で巡っているとそれぞれの丘の頂上には日本ではまず目にしない途轍もない規模の豪邸が建っています。ヴァージン諸島の歴史は古く、あのコロンブスが西洋人としては初めて1493年に見つけました。17世紀に本格的に植民地化が進み、17世紀後半にオランダから英国に宗主国が変わります。

そこから200年近くにわたってヴァージン諸島はサトウキビのプランテーションとして発展し、アフリカから多くの奴隷が連れてこられました。今でもBVIに暮らしている人の80%以上がアフリカ系の人です。その後、サトウキビの欧米からの需要が減ったことで経済的に厳しい状況が続きますが、1960年代に自治領としての地位を確立すると、規制緩和と無税化を推し進めタックスヘイブンとしての地位を高めていきました。今では全世界のタックスヘイブンの法人設立の約45%をBVIが占めているなど、法人登記の場としては世界一の規模を誇るタックスヘイブンとなっています。

BVIは多くの島からなりますが、大きな島はトルトラ島とヴァージン・ゴルダ島です。大型のクルーズ船が入港できるのはトルトラ島で、ペーパーカンパニーの登記住所がある建物のほとんどもトルトラ島にあります。一方、次回のコラムで詳しく紹介しますが、有名なザ・バスとよばれる海岸沿いの巨岩からなる洞窟など人気の観光スポットの多くはヴァージン・ゴルダ島にあります。ヴァージン・ゴルダ島のサンゴ礁はとても美しく、シュノーケリングをしているだけでたくさんのカラフルな魚が見られますし、トルトラ島には大きなマリーナもあってクルージングも楽しめます。

食事も海産物やフルーツが豊富で、ゴルフもクルーザーで1時間ほどのセント・トーマス島にコースが2つもあるため、ビジネスで功成り名遂げた人が引退後に住むには最高だと感じました。税金の心配が一切なくなるのであれば、私も老後に住もうかといずれ真剣に考えたいと妻に話すと、退屈しそうと呆れられましたが、また機会を見つけて再訪してよりBVIの魅力について精査したいと考えています。

次回は、BVIに加えてUSヴァージン諸島やセント・マーティン島、さらにはバハマと今回訪問したカリブ海の島々のリゾートとしての魅力を紹介します。

岡村聡_300

岡村 聡 (おかむら さとし)

シンガポールで資産運用のアドバイスを行う株式会社S&S investments代表取締役。 マッキンゼー&カンパニー、アドバンテッジ・パートナーズなどを経て、2010年11月に妻と2人で同社を設立。現在、資産運用に加えて、海外移住や海外不動産投資などのコンサルティングも行っている。著書に「世界の超富裕層だけがやっているお金の習慣」(KADOKAWA/中経出版)など。

連載コラム

okamura_book
岡村聡 著
 
『世界の超富裕層だけがやっているお金の習慣』
KADOKAWA 1,540円(税込)
 
日本とシンガポールで、超富裕層を対象にファミリーオフィスを経営する著者が、「本当の富裕層」から学んだ、お金を使いこなし、豊かな人生をおくる術を解き明かす一冊。

岡村聡

Return Top