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The Style Concierge

ベイエリア 3/4 
なぜスタンフォードは世界一の大学に上り詰めたのか

米国社会の良いところが凝縮した大学

スタンフォード大学のキャンパスを歩いていて日本の大学と異なると感じる点は、その圧倒的な広さやスポーツ施設が充実していることなど色々ありますが、新しい建物が次々と建設されていることも目につきます。そして、その建物の多くに寄贈した個人名が冠されています。

こうした個人が寄贈した建物中でも際立っているのが、スタンフォードのMBAに帰属するフィル・ナイト・マネジメントセンターです。これは2006年にナイキの創業者であるフィル・ナイトが約1億ドル(約110億円)の寄付をスタンフォードのMBAスクールに行ったことがきっかけで建設されました。フィル・ナイトはさらに今年2月に新たに4億ドル(約450億円)の寄付をスタンフォード大学に行って、新たな奨学基金を設立することも発表されました。

こうした大富豪たちによる巨額の寄付によりスタンフォード大学の寄付基金は、約220億ドル(約2.5兆円)という巨額になっています。この金額は世界中の大学基金として5位にランクインしており、ちなみに首位はハーバード大学の約364億ドル(約4.1兆円)です。東京大学の寄付基金のサイズは100億円そこそこですから、米国の名門大学の基金がいかに大きいかよく分かります。

さらに、スタンフォードを始め米国の名門大学はこうした資金を敏腕運用マネージャーに任せることで年10%以上という高い利回りで運用しています。運用益だけで数千億円を得ていて、さらにそこに学費や共同研究の資金が入ってくることで、設備を充実させ世界トップクラスの人材を集めています。

私たちのビジネスは米国ではファミリーオフィスと呼ばれますが、なぜうちの会社のWebサイトに寄付の項目がないのかと現地で話を聞いた金融関係者の何人からも質問を受けました。米国では富裕層のお金周りのトピックについて、これほど寄付という行為が当たり前で重要なポジションにあるのかとその質問から痛感しました。

格差の深刻化が叫ばれ社会の分断が問題とされている米国ですが、このように成功者たちが寄付に積極的で次世代の育成に役立てられていることは、米国社会の格差を癒す最良の面だと感じました。

次回は、舞台をサンフランシスコに移して、当地での起業活動や街の様子について紹介します。

岡村聡_300

岡村 聡 (おかむら さとし)

シンガポールで資産運用のアドバイスを行う株式会社S&S investments代表取締役。 マッキンゼー&カンパニー、アドバンテッジ・パートナーズなどを経て、2010年11月に妻と2人で同社を設立。現在、資産運用に加えて、海外移住や海外不動産投資などのコンサルティングも行っている。著書に「世界の超富裕層だけがやっているお金の習慣」(KADOKAWA/中経出版)など。

連載コラム

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岡村聡 著
 
『世界の超富裕層だけがやっているお金の習慣』
KADOKAWA 1,540円(税込)
 
日本とシンガポールで、超富裕層を対象にファミリーオフィスを経営する著者が、「本当の富裕層」から学んだ、お金を使いこなし、豊かな人生をおくる術を解き明かす一冊。

岡村聡

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