なぜ地方都市の人口が増えているのか
今回、ネルソンを訪れたのはワイナリーに関心があるお客様と視察するためでしたが、ワイナリーの様子については次回に詳しく紹介します。ネルソンを訪れて驚いたのは、人口が増えていたことです。上記のように日本と同じくオークランドに人口が一極集中しているニュージーランドですが、オークランドやウェリントン、クライストチャーチといった大都市圏だけでなく、ネルソンのような地方都市でも人口が伸びています。
ネルソンの人口が伸びている理由は2つあって、オークランドなど主要都市と比較して人件費が安いことに加えて、海に面していて港が整備されているため、海外に輸出する製品の工場が移転してきていることと、リタイアメント層が移住して来ていることです。
今回は、ワイナリーや不動産視察が中心であったために、前者のビジネス面はよく分かりませんでしたが、後者のリタイア層に人気である理由はよく分かりました。世界の流れから隔絶された南島に位置して、さらに人口も5万人程度の町であるため、町全体に穏やかな雰囲気が満ちています。不動産視察の時も、エージェントとおいしいシーフードを囲みながらワインを傾け、平日ながら1時間30分以上のランチを一緒にしてから視察に出掛けるなど、時間の流れはとてもゆったりしています。
不動産投資のために商業施設もいくつか視察しましたが、ネルソンの商業地域は歩いて15分ほどで一周でき、私たちを案内してくれたエージェントも歩きながら知り合いとあって話すなど、住民の顔が見える範囲の町でした。気候もサニーネルソンが代名詞になっているほど晴天率が高く、実際に訪問中もずっと好天に恵まれました。12月は向こうでは初夏ですが気温は25度ほどまでしか上がらず、湿気も少ないためとても快適です。
ただ、日本の地方と似た風景で海に山が迫っていて平地が少なく、ニュージーランドはさらにほとんどの住宅が一戸建てであるため、近隣のリッチモンドという町も含めて住宅地は高台までびっしりと建物が立ち並んでいます。
そのため、不動産価格が高騰しているオークランドの家を引き払って、バジェットは十分にあるにもかかわらず、売り物件がないために不動産の取得に苦労するという日本の特に地方都市では考えづらい悩みも聞きました。