豊かな生活が可能なエコビレッジ

アタマイビレッジは10年前に基本的なコンセプトが作られましたが、その立地選びには素敵なエピソードがあります。この地に最初に住み始めたのはセスナ機のパイロットです。入り組んだ湾や島が多く、さらに海辺まで山が迫ったニュージーランドの地形から、移動には小型機が頻繁に使われますが、小型機を運転している中で山に囲まれた盆地で、常に晴れているアタマイビレッジの立地に注目しました。

風向きと山の形状から雲が発生しても山で遮られて雨が降ることのないアタマイビレッジの天候の良さは今回の訪問でも十分に味わえました。

日本でエコビレッジというと住人が我慢を強いられるイメージがありますが、アタマイビレッジを始めニュージーランドのエコビレッジは、おいしい食材とワインに恵まれたとても豊かな生活を送れます。住宅も各季節の太陽の角度を勘案して、夏の強い日差しはカットしながら冬にはリビングの奥まで日光が差し込む、最適な形状を計算し尽くして窓の高さや、軒の長さが設計されています。

壁などもその場の土から作られていて、植林された松も他の植物の生息を脅かし土壌にもダメージがあるため、伐採を進めることで薪として使い、伐採した後にはニュージーランドの原生種を植えることで、サステーナブルなコミュニティづくりが徹底されています。

これからますます人口が増加し環境への負担が大きくなる地球において、アタマイビレッジは高度な環境意識が体現されている世界中のコミュニティ形成に対して大きな示唆を与える先端的な試みであると感銘を受けました。