ヒッピー文化のエコビレッジ
アタマイビレッジだけでなく今回の視察では、60年前に設立されたニュージーランド最古のエコビレッジであるリバーサイドコミュニティも訪れました。リバーサイドはアタマイビレッジよりもかなり規模が小さいですが、なるべく平等なコミュニティを目指すという独特の理念が貫かれています。
リバーサイドに参加するタイミングでは現預金などの金融資産をコミュニティに預ける必要があり、そこから上がった収入はコミュニティ全体に使わなければなりません。
1960年代に米国でベトナム戦争反対により盛り上がったヒッピー文化ですが、それが米国から見て地球の反対側であるニュージーランドの地で、今もその理念が継続していることにはとても興味深く感じました。
このコミュニティはワーホリでニュージーランドを訪れ、エコビレッジの理念に共感して食事と寝床だけを提供してもらう対価として労働力を提供するウーファーと呼ばれる若者たちにより支えられています。ブロック塀で囲まれた簡素な建物がウーファーの住居です。
資本主義がグローバルに浸透したことで、巨大企業や富裕層とそれ以外の経済的な格差が深刻化していることは世界中で問題となっていますが、ニュージーランドのエコビレッジにはこのように地産地消で、コミュニティのメンバーの経済的な格差もない対極的な価値観が存在していることはとても興味深いことです。
前回も紹介したように世界の主要都市から隔絶された立地であるニュージーランドですが、そうであるからこそ他の地ではあまり見られない価値観やそうした理念に支えられたコミュニティが存在できるのかもしれません。
資本主義という単一の概念が地球上を覆いつくしそうな現代であるからこそ、資本主義とは異なった価値観の重要性は高く、そうした価値観が息づくニュージーランドの存在意義は重要であると感じました。
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