前回に、マレーシア唯一のカジノであるゲンティン・ハイランドについて紹介しましたが、今回はより広範にアジア全体のカジノリゾートについて紹介します。
国別・リゾート別のカジノ売上ランキング
この連載のマカオの回でも紹介しましたように、習近平政権の反腐敗活動でマカオのカジノ売上は2013年をピークに減少し、14年は前年比で微減、15年は30%以上の前年からのマイナスとなり、16年も前年から3%強のマイナスと3年連続での前年割れとなり、ピークの13年の6割程度の約280億ドル(約3.1兆円)に売上が留まりました。
ただ、リゾート別の売上を見るとアジアのカジノリゾートの規模は他の地域のそれを圧倒しています。2014年のデータしか手元にありませんが、リゾート別のカジノからの収益ランキングでは、世界のトップ10をアジアのリゾートが独占しています。
1位が、華人系のギャラクシーが運営するギャラクシー・マカオでカジノの年間売上が約59億ドル(約6,600億円)となっており、2位以下も華人系のグランド・リスボアの同約38億ドル(約4,300億円)、3位の豪州系のシティ・オブ・ドリームスの同37億ドル(約4,200億円)と上位をマカオのカジノリゾートが独占しています。
2014年のランキングでは、1位から8位までをマカオのカジノリゾートが独占しており、9位にシンガポールのマリーナ・ベイ・サンズが同約26億ドル(約2,900億円)、10位にゲンティン社が運営するシンガポールのリゾート・ワールド・セントーサの同約18億ドル(約2,000億円)がランクインしています。
上記のようにその後マカオのカジノ売上は減少していますが、例えマカオ全体での減少幅以上にここ2年で各リゾートのカジノ売上が半減していたとしても、2016年においてもマカオの巨大カジノリゾートは上位にランクインしていることは間違いありません。
11位にようやくアジア以外のメルボルンのクラウン・リゾートがランクインし、12位には前回に紹介したゲンティン・ハイランドがランクインしています。このように、リゾート別に見た時のカジノ売上ではアジアのそれが上位を独占しています。
カジノと聞いて誰もが思い浮かべるラスベガスで、リゾート別のカジノ売上が最も大きいウィン・リゾートでも約7億ドル(約790億円)しかありません。ただ、気を付けなければならないのは、ラスベガスのカジノはIRと呼ばれるカジノ以外のエンターテイメントを充実させた統合型リゾートに脱皮していることです。カジノももちろん大事な収益源ですが、それ以外の会議施設や劇場、ショッピングモール、レストランからの収益も多額にのぼります。