文化施設をさらに拡充するアブダビ
こうした次世代の交通インフラの整備でドバイとより密接に連携していくアブダビも、万博のような目玉のイベントはないものの、強みとしている文化・教育施設を整備していく予定です。
前回にアブダビに最近開館したルーブル美術館のアブダビ分館について紹介しましたが、これに加えて世界的な建築家フランク・ゲーリー設計のグッゲンハイム美術館のアブダビ分館、さらには安藤忠雄が設計を手掛ける海洋博物館に国立博物館と、複数の世界的な規模の美術館や博物館が、ルーブルアブダビ分館と同じサディヤット島に次々と完成していく予定です。
観光を中心としたビジネスで先行するドバイに対して、アブダビは文化やスポーツ面での取り組みを拡大していることは前回も紹介しましたが、こうした展示系の施設に加えてこちらも世界最大規模の複数の劇場やオペラハウスも整備して、世界最高レベルの交響楽団や歌手、バレエダンサーによるパフォーマンスも定期的に開催していくようです。
中東エリアではカタールも王室が印象派の名画を数百億円の高値で次々と競り落としたり、ドーハ近郊の海上に巨大な美術館を建設したりするなどアート分野に注力していますが、アブダビの文化への取り組みはそれを質量両面においてはるかに凌駕していて、文化面での中東のハブとなっていきそうです。
さらにアブダビには、フランスの名門MBAであるINSEADやニューヨーク大学のアブダビ分校も開講していて、海外にある貴重な文化財をお金で誘致するだけでなく、今後は自分たちで次世代のアートや教育について発信していくことを目指しています。