ハリー・ポッターを生み出した街
このように街全体が大学と一体化していることで高い魅力を誇っているオックスフォードですが、最近ではもう1つ世界中から人を集めるコンテンツがあります。それは「ハリー・ポッター」で、著者であるJKローリングは、オックスフォード大学の入学試験には落ちてしまったものの、自身の物語にオックスフォードの建物や歴史に着想したモチーフを多数ちりばめています。
ハリーポッターに使われている場所を巡るツアーが多数開催されていて、私たちもそうした中の1つに参加しましたが、そこかしこに映画に出てくるシーンやキャラクターのモチーフとなったオブジェがありました。
特に、ハリーポッターの主人公たちが通っている魔法学校ホグワーツの食堂や図書館は、オックスフォード大学の施設で撮影されているので、ファンにとってはたまらないでしょう。ハリーポッターの映画で主演女優をつとめたエマ・ワトソンはオックスフォードで育ち、街中には彼女がよく訪れたレストランやバーが多数存在しています。
また、オックスフォードには今や欧州を代表する巨大な本屋チェーンとなったブラックウェルの第1号店があり、うちの子供はこの店でハリーポッターシリーズの特別装丁版を購入して、旅行の間に夢中になって読んでいました。オックスフォードの後に訪れたケンブリッジと比較すると顕著ですが、オックスフォードの歴史的建造物にはガーゴイルやモンスターの凝った作りの装飾品が多数造られています。一方、ケンブリッジの建物群はサイエンスに強い同大学らしくこうした装飾品の数ははるかに少なくすっきりとしています。
人文学に強いオックスフォードの街はハリー・ポッターだけでなく、「ロードオブザリング」と「ナルニア国物語」という2つの世界的な人気を誇るファンタジーとも深い関連があります。市内には、両作品の作者であるトールキンとルイスが20年以上にわたって毎週一緒に訪れて会話を楽しんだバーまであります。また、「不思議の国のアリス」を生み出したルイス・キャロルもオックスフォード大学の数学講師でこの地に深い縁を持っています。
このようにオックスフォードは今や世界中で子供だけでなく大人をも夢中にする傑作ファンタジーを数多く生み出してきたことからも明らかなように、傑出した文化的パワーを有している場所です。