前回、マンハッタンのコンドミニアムについて取り上げましたが、今回はこれと並んで今の好調な米国経済を象徴するメガテック企業の本社施設について紹介します。
総工費数千億円が当たり前
今年の夏に米国の西海岸とNYに1ヵ月にわたり滞在しましたが、強く感じたのは主要株式指数が軒並み最高値圏にある米国経済の好調さです。前回紹介したNYの超高級コンドの建設ラッシュもその象徴ですが、さらにインパクトがあったのが西海岸に建設されているメガテック企業の本社施設です。
米国のメガテック企業というと日本のメディアでもGAFAの文字を見ない日がないほどですが、ここ数年世界の時価総額ランキングでも、GAFAにマイクロソフトを加えた5社が上位を独占しています。その中でも本社の規模で抜けているのがアップルです。
アップルパークと呼ばれるパロアルトに位置する本社施設は、直径500メートル近くで円周がちょうど1マイル(約1.6km)になっている円盤型の建物で知られています。1万5,000台近い駐車場は全てに地下に配されていて、建物以外のほとんどは緑でおおわれていて、屋上にはソーラーパネルが敷き詰められていて、エコ意識の高さが伝わってくる設計です。
総工費は50億ドル(約5,400億円)とされていて、著名な米国国防総省の本部であるペンタゴンを上回る規模を誇っています。訪れる観光客も多くビジターセンターが整備されていて、建物全体の模型やカフェが併設されていて2階からは建物の全景が見られるようになっています。
アップルと同じくベイエリア(シリコンバレーにサンフランシスコ周辺部も加えたスタートアップが多いエリアの総称)にあるフェイスブックの新本社施設も壮大なプランです。世界的に著名な建築家フランク・ゲーリーによる設計で、建物の屋上に多数の植物を配したこちらも緑あふれるデザインとなっています。
メンローパークにある本社施設を、フランク・ゲーリー設計の複数のビルで増強していることに加えて、サンフランシスコの超高層ビルも取得しており、オフィス拡張に費やしているコストはこちらも10億ドル(約1,100億円)以上の巨費とみられています。